人名事典

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上田 篤

(うえだ・あつし)
 一九三○年大阪府生れ。京都大学卒。建設省住宅局、大阪大教授を経て、京都精華大学教授。

 都市設計が専門だが、生活空間学という珍しい分野にこだわりをもつ。『中央公論』(94年11月号)「日本の都市をこう解読する」は論点が斬新。都市というと、その内部からの視点がふつうだが、上田はふと海からの視点を思いつく。漁民が陸地に向ける視線は、生活のための操船の技術だ。良き漁場を見て覚えるため、陸地の目印四点を選び二本の直線を引きその交点をつくる。生活を負った作業。「日本の街のあちこちで今も生き残りをかけて建物同志がにらみ合う。その緊張感の高まりが日本の都市の美を作っている。サバイバルをかけた瞬間の美であり充実した気合いの美しさである。漁民の歴史は最後に気合いの都市を生み出している」。

 著書に『建築のなかの都市』(プロセスアーキテクチュア、93年)など。

(データ作成:1997年)