モーツァルトの妻
発売日
1998年09月01日
判 型
文庫判
ISBN
978-4-569-57191-1

モーツァルトの妻

著者 加藤宗哉著 《作家》
主な著作 『彼らの諍い』(文芸社)
税込価格 607円(本体価格552円)
内容 コンスタンツェ。この悪評高き女性をモーツァルトはなぜ愛したのか。彼女の負のイメージを覆し、語られなかった魅力を描く傑作小説。



 ソクラテス、モーツァルト、落合博満、この三人の人並み外れた天才に共通することがわかるだろうか。答えは、三人とも名だたる「悪妻」を抱えていることである。いみじくも落合夫人の言うように「悪妻だから男は伸びる」という言葉は正しいのだろうか。では、モーツァルトの才能を引き出した悪妻・コンスタンツェはいかなる女性だったのだろうか。 この小説の著者はそこに疑問を抱く。「これまでに読んだどの本でも、コンスタンツェ・モーツァルトはつねに負のイメージとして描かれていた。それが僕にはなぜだか不満で、彼女の人生にこだわっている。とにかく、あのモーツァルトが選び、愛し、暮らした女なのだから」。 著者は綿密な調査と、作家的想像力で、まったく新しいコンスタンツェ像を築き上げた。あまりの天才に愛されたがゆえに、素直になりきれなかった彼女。その心理を美しき近代ヨーロッパの情景の中に描き出す、音楽史への挑戦とも言える意欲作である。