日本の技術レベルはなぜ高いのか
発売日
2002年12月02日
判 型
文庫判
ISBN
978-4-569-57854-5

日本の技術レベルはなぜ高いのか
その智恵と精神の歴史をさかのぼる

著者 風見明著 《法政大学講師》
主な著作 『ハイブリッドICとその応用』(パワー社)
税込価格 649円(本体価格590円)
内容 なぜ日本は技術立国といわれるのか。現代日本に、今もねづいている日本人の「もの作り」に対する智恵と精神を考察した力作評論。



 かつて「メイド・イン・ジャパン」の製品は、「安かろう、悪かろう」と言われた時代があった。しかし、いま「メイド・イン・ジャパン」と言えば、「リーズナブルな価格で、高品質」と同義といってもよいだろう。しかし、かつての「日本製品」が「安いが質が悪い」と言われた時代は、戦後数十年の間だけのことであったというのが、著者の立場である。いや、歴史的に見れば、技術の伝承、工芸品、美術品、建築物としての「もの作り」において、日本は世界的な水準にあったというのが、著者がもっとも訴えたい点なのである。

 それを支えていた日本人固有の「もの作り」の思想として、著者は、かんざしなどに見られるハイグレード志向、扇子に見られるポータブル志向、旺盛な競争心、手先の器用さ、道具と材料へのこだわりなどを挙げている。

 技術立国といわれる現代日本に、今も息づく「もの作り」のルーツを探る本書は、読み物としても十分に楽しめる一冊である。