春風を斬る
発売日
2000年08月28日
判 型
四六判上製
ISBN
978-4-569-61276-8

春風を斬る
小説・山岡鉄舟

著者 神渡良平著 《作家》
主な著作 一隅を照らす人生』(PHP研究所)
税込価格 2,310円(本体価格2,100円)
内容 「私」を捨て「公」のために生き抜いた幕末の剣客・山岡鉄舟。勝海舟とともに江戸城総攻撃を中止させた男の美学を描く長編歴史小説。



 幕末・維新期に活躍した剣客・山岡鉄舟。その名は「幕末三舟」として勝海舟、高橋泥舟と並び称されている。時流や権力に決して阿(おもね)ることなく大道を貫いた鉄舟の生きざまは、西郷隆盛をして、「命もいらず、名も要らず、官位も金も要らぬ人は始末に困る。しかし、この始末に困る人ならでは、苦楽をともにして国家の大業を成し得られる」と言わしめた。

 本書は、この時代の変革期に生きた男の生きざまと魅力をあますことなく描いた長編歴史小説である。

 慶応四年、江戸を目指す新政府軍に単身乗り込み、江戸城総攻撃を阻止。維新後、多くの志士たちが猟官運動に走るなか、零落した徳川慶喜に従い、駿河に赴き、富士の裾野の開墾などを行う。やがて、この実直かつ右顧左眄しない言動は明治天皇の心を捉え、厚い信任を得ていく――。

 「忠」を尽くし、「公」を貫いた男の美学を描き出す、構想七年、執筆に四年の歳月をかけた著者渾身の力作である。