養生訓に学ぶ
発売日
2000年12月20日
判 型
新書判
ISBN
978-4-569-61413-7

養生訓に学ぶ

著者 立川昭二著 《北里大学名誉教授》
主な著作 『からだことば』(早川書房)
税込価格 726円(本体価格660円)
内容 江戸時代の儒者・貝原益軒による『養生訓』は単なる健康のハウツウではなかった。心身をいたわり人生を真に楽しむ「養生の思想」の現代的意義を解く。



 江戸中期の医師であり儒学者であった貝原益軒が著した『養生訓』。時代を超えて多くの日本人に読み継がれてきただけでなく、最近では世界的にもその思想への関心が高まっている。

 天地と遠い祖先からの授かりものである「いのち」への畏敬、老いてこそ真に味わうことができる人生の楽しみ、心身のもとは「気」の流れであるとする身体観、人間に備わっている「自然治癒力」への信頼……益軒が説く「養生」とは単なる健康のハウツウではなく、江戸という成熟社会に暮らす人々の生き方の思想であった。それは飽くなき消費生活への反省を迫られ、また医療テクノロジーに自らの生死を翻弄されている現代人にとっても、きわめて示唆するところの大きいメッセージになっている。

 本書では、病や老いといった人間の「弱さ」に温かなまなざしを注いできた著者が、名文で知られる益軒の味わい深い文章を読みといていく。健やかな心身のための珠玉の一冊である。