死物学の観察ノート
発売日
2001年06月15日
判 型
新書判
ISBN
978-4-569-61668-1

死物学の観察ノート
身近な哺乳類のプロファイリング

著者 川口 敏著 《ナチュラリスト》
税込価格 726円(本体価格660円)
内容 すぐその辺にあるネズミやモグラの死体には動物の生態の秘密がたくさん詰まっている。楽しいイラストとエッセイで綴る自然観察の魅力。



 かつては博物学と呼ばれ、ダーウィン時代のヨーロッパや文明開化後の日本で隆盛を誇った形態学・分類学。しかし現在、特に日本でこれらの学問は流行らなくなり、「死んだ物を研究するから死物学」という蔑称まであるという。しかし、観察・分類し、仮説や推理を働かせてその生態を探る「死物学」にこそ、生物研究の醍醐味があると著者。

 著者は、高松に住み、モグラやネズミ、イタチなど身近な動物の事故死体などを拾って解剖し、その標本をつくることを中心に、フリーで動物の野外調査を続けている。本書では、図鑑にも載っていないマニアならではのイタチの見分け方や、タヌキやモグラのペニスの恐るべき秘密等、日々の観察の記録をエッセイと挿絵で綴っている。ウィットに富んだ文章と精緻な中に可愛さのあるイラストからは、著者の生き物に対する愛情と、自然や動物との生身の触れ合いを取り戻そうというメッセージが伝わってくる。養老孟司氏も推薦の一冊。