日本人の論語(下)
発売日
2002年07月15日
判 型
新書判
ISBN
978-4-569-62271-2

日本人の論語(下)
『童子問』を読む

著者 谷沢永一著 《関西大学名誉教授》
主な著作 人間通になる読書術』(PHP研究所)
税込価格 902円(本体価格820円)
内容 江戸前期の儒学者・伊藤仁斎の『童子問』の現代語訳。下巻では原本の「巻の中・第二十一章」以降をまとめる。仁・義・礼のあり方を問う。



 伊藤仁斎は、儒学を支那(チャイナ)から取り寄せた輸入学ではなく、日本人のための人間学に転換させた最初の人物である。仁斎が著した『童子問』には、わが国の儒学の独創性が随所にちりばめられている。

 本書は、その『童子問』を現代語に訳し、さらに要諦を解説した一大労作。下巻では、<巻の中・第二十一章>以降を収録する。君主の人徳、倹約の心得、賞罰の判断はいかにあるべきかを唱える。

 例えば、次のような訓戒が並んでいる。「生まれた時代が悪いと嘆く者は仁者ではない」「文が武より上であれば、王の地位は安泰である」「師の道とは、人材を育てあげる努力である」「反省は自らを磨く砥石である」「自力で手に入れた智恵は、一生の財産になる」「学問を極めた人は相手を非難しない」「智者は無理をせず、自然の流れに従う」等々。

 人の世を処する智恵について、三百年後の現代人にも多くの示唆を与える。我が国独自の儒学について、古典の碩学があまさず語る。