空海と密教
発売日
2002年09月13日
判 型
新書判
ISBN
978-4-569-62363-4

空海と密教
「情報」と「癒し」の扉をひらく

著者 頼富本宏著 《種智院大学学長》
主な著作 『密教』(講談社現代新書)
税込価格 792円(本体価格720円)
内容 情報通でマルチな才能。静かな生を肯定する「癒し」の思想――見逃されてきた空海像に光を当て、現代に通じる多彩に生きる知恵を示す。



 平安の大思想家であり、今日なお、弘法大師として日本文化に深く溶け込む存在、空海。その生涯とは、密教の奥義をひもとき、聖なるエネルギーを広く行き渡らせるものであった。

 都を離れての山林修行、命がけの入唐、恵果阿闍梨との師弟関係、ライバル、最澄との接近と離別……。数々の伝記資料を用いながら、聖と俗の両界を自由に往来した空海の実像に迫る。

 本書では主に、空海の思想と行動の構造の異なる二軸、すなわち「情報」と「癒し」の二つの視点に焦点をあてている。「情報」とは、七世紀から八世紀のアジアは国際化の時代であり、その代表的国際人、文化人が空海であったという意味である。「癒し」とは、とらわれやこだわりをなくす密教の教えを意味している。

 単なる「知識」ではなく、身体で覚える「智恵」とは何か。空海の思想と行動を通して、現代人に「さとり」の意味を問いかける。千二百年の時空を超えて、人間空海の実像に迫った本格的評伝である。