湯川秀樹の世界
発売日
2002年11月15日
判 型
新書判
ISBN
978-4-569-62517-1

湯川秀樹の世界
中間子論はなぜ生まれたか

著者 中野不二男著 《ノンフィクション作家》
主な著作 『日本の宇宙開発』(文春新書)
税込価格 792円(本体価格720円)
内容 中間子理論はどれほど画期的な発見だったのか? 日本人初のノーベル賞受賞者の過酷なる闘いを描き、その研究の科学史的意味を問い直す。



 1949年、42歳で日本人初のノーベル賞受賞に輝いた湯川秀樹。それは、「中間子論」の提唱から15年後のことだった――。

 19世紀末の物理学界は、欧米の研究者たちが原子の構造を次々と解明してゆき、「大発見の連鎖」とも言うべき熱狂時代であった。

 20世紀に入り、「陽子」「中性子」の存在が明らかになりつつも、それらを「結びつける力」だけが当時最大の「謎」として残った。国内で独自の研究を貫いていた20代の秀樹は、その「謎」に真正面から挑む。文字通り寝ても覚めても追究し続けた結果、あるヒントをきっかけに、遂に「新粒子」理論に辿りつく。

 日々確信を強めてゆく秀樹に対し、欧米の学会は無反応。やがて外界は戦争へ突入してゆく。だが、時代は着実に彼の「予言」の通りに導かれてゆくことになる。

 ノーベル賞受賞にいたるまでのその過酷な半生ドラマを通して、中間子論の真の価値を明らかにした、湯川秀樹ノンフィクションの決定版。