キツネの花よめいしょう
発売日
2007年01月26日
判 型
B5判変型上製
ISBN
978-4-569-68666-0

キツネの花よめいしょう

著者 森はな作
梶山俊夫絵
主な著作 こんこんさまにさしあげそうろう』(PHP研究所)
税込価格 1,320円(本体価格1,200円)
内容 スギノキ山の熊笹の中に、キツネの母と娘がすんでいました。お嫁にいく娘のために花よめいしょうがほしいと母ギツネは考えましたが……。



 おおきなスギノキ山のクマザサのなかに、かあさんギツネとむすめのキツネがすんでいました。むすめのキツネは、あきになると、むこうの山へおよめにいきます。――美しい文としみじみやさしい絵でおくる珠玉の一冊。

 嫁ぐ日が近いむすめの体を、母ギツネはヤマツバキの実でせっせとみがいていました。谷川のむこうの染め物屋さんが、河原の石の上にひろげたあざやかな布をみて、「あのぬので花よめいしょうをつくったら、きっとお山一のおよめさんになるだろうな」と母ギツネはいつも河原の布をながめていました。ひとかげがなくなったとき、母は布をくわえて走りましたがすぐに見つかり、命からがら草むらに逃げ込みました。美しい布があきらめきれない母ギツネでしたが、かみなりのあとのあめつぶで七色にかがやくむすめのからだをみて、娘がどんな布よりもきれいなことに気がついたのです。

 娘を思う母ギツネの愛情が、せつないほど伝わってくるお話です。