士道の本懐
発売日
2008年07月16日
判 型
四六判上製
ISBN
978-4-569-70158-5

士道の本懐
連作歴史小説

著者 泉秀樹著 《作家》
主な著作 戦国なるほど人物事典』(PHP研究所)
税込価格 1,650円(本体価格1,500円)
内容 水戸藩の中間の御用道中での壮絶な斬り合いを描いた「御用鮭始末」ほか、名もなき男たちの逞しくも健気な生き方を活写した連作歴史小説。



 「武士道といふは、死ぬ事と見付けたり」と『葉隠』にいう。この言葉が有名すぎるせいか、武士道は死を賛美するものと理解されがちだ。だが、本当にそうだろうか。それは上級武士の綺麗事であり、傷つき、汚れながらも「生き抜くこと」こそ真の武士道ではないか――。本書は、下級の公家侍や中間などの名もなき男たちを主人公に、その逞しくも健気な人生を鮮烈に描いた連作歴史小説である。

 水戸藩の中間兄弟の御用道中における壮絶な斬り合いを描く「御用鮭始末」、大石内蔵助と血縁のある近衛家の奉公人が忠臣蔵事件を語った「太閤殿下の濃茶」、料亭の板前で冷酷な男が人間らしさに目覚める「鱧の骨切り」、維新直後に明治天皇に先駆供奉した公家侍の道行に取材した「公家侍と蕪蒸し」の4篇。通底するモチーフが巧みに織り込まれ、通読すると1篇の長篇小説のような滋味あふれる読み応えがある。

 ベテラン歴史作家ならではの筆が冴える傑作書き下ろし作品。