「失われた時を求めて」の完読を求めて
発売日
2019年08月21日
判 型
A5判変型並製
ISBN
978-4-569-77200-4

「失われた時を求めて」の完読を求めて
「スワン家の方へ」精読

著者 鹿島茂著 《フランス文学者、明治大学国際日本学部教授》
主な著作 『100分de名著 ユゴー ノートル=ダム・ド・パリ』(NHK出版)
税込価格 2,640円(本体価格2,400円)
内容 この書をどうすれば完読できるのか! プルースト『失われた時を求めて』の面白さを、第1編「スワン家の方へ」だけで味わえる読書案内。



 20世紀文学の金字塔である、マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』。

 ところが、その難解さと長大さゆえに、最後まで読むのは至難の業。途中で挫折した人は数知れず。そんな難攻不落の大傑作を制覇する道しるべとなるのが本書です。

 全7篇のうち、第1篇「スワン家の方へ」を丹念にひもときながら、全篇を読み通すヒントを紹介します。

 

 『失われた時を求めて』は当初「スワン家の方へ」のみで構成しようとプルーストは考えていました。そのため、この本を読めば、プルーストの狙いや読みどころなど、完読のために必要なポイントを知ることができます。

 「このくだりは退屈に感じてOK」「この描写には実はこんな意図がある」「こういう表現が出てきたら、注意深く読む」「これは伏線となる大事な箇所」など、大長編を読み通せる勘と基礎体力が身につくはず。

 また、有名な「紅茶とマドレーヌ」をはじめ、『失われた時を求めて』のハイライト・シーンが多数登場する「スワン家の方へ」によって、最終篇まで到達する弾みがつくのです。

 著者自身が大長編マニアにもかかわらず読み通せなかった経験を持つため、つまずきやすいポイントをおさえながら、完読へと導きます。

 原典からの引用は、すべて著者訳。「鹿島版プルースト」が楽しめる一冊でもあります。母親に「おやすみのキス」をねだる少年の苦悩、紅茶にひたしたマドレーヌがよみがえらせる記憶、19世紀末パリの華麗な社交界で繰り広げられる猜疑と嫉妬に満ちた恋――。

 挫折した人も、ゼロからの人も楽しめる、エキサイティングな読書体験! 世界的名著のエッセンスを味わえます。