手の中の天秤
発売日
2013年07月10日
判 型
四六判並製
ISBN
978-4-569-81298-4

手の中の天秤

著者 桂望実著 《作家》
主な著作 『県庁の星』(小学館)
税込価格 1,760円(本体価格1,600円)
内容 加害者を裁くことのできる権利を手に入れた時、被害者や遺族はどうする? 憎むこと、赦すこととは何かを描く、感動の長編小説。



 刑務所に送るか送らないかを決めるのは、遺族。

 裁判で執行猶予がついた判決が出たときに、被害者や遺族が望めば、加害者の反省具合をチェックし、刑務所に入れるかどうかを決定できる制度「執行猶予被害者・遺族預かり制度」が始まって38年がたっていた。30年前、その制度の担当係官だった経験があり、今は大学の講師として教壇に立つ井川。彼は、「チャラン」と呼ばれるいい加減な上司とともに、野球部の練習中に息子を亡くし、コーチを訴えた家族、夫の自殺の手助けをした男を憎む妻など、遺族たちと接していた当時のことを思い出していた。

 加害者を刑務所に送る権利を手に入れた時、遺族や被害者はある程度救われるのか。逆に加害者は、「本当の反省」をすることができるのか。架空の司法制度という大胆な設定のもとで、人を憎むこと、許すこととは何かを丹念な筆致で描いていく、感動の長編小説。