黄昏(たそがれ)の旗
発売日
2013年10月11日
判 型
四六判並製
ISBN
978-4-569-81531-2

黄昏(たそがれ)の旗
箱庭旅団

著者 朱川湊人著 《作家》
主な著作 箱庭旅団』(PHP研究所)
税込価格 1,760円(本体価格1,600円)
内容 世界には、物語があふれている――心に沁みる作品から思わず笑いがこぼれるものまで、直木賞作家による短いけれどキラリと光る連作集。



 「見ている風景は、誰も似たようなものだわ。そこから何を見つけるかは、あなたの心しだい……」

 どんな時代にも、どんな場所でも、映画や本のような作られた世界のなかでも、自由自在に行き来できる「旅行者(トラベラー)」である少年が、白馬とともに旅する世界をそれぞれ「箱庭」に見立て、短篇の名手が物語を紡ぐ。

 国道四号を悠々と歩きつづけるゾウ(「誰もゾウにはかなわない」)、夕暮れの車窓から見えるオレンジ色の旗(「黄昏の旗」)、ジェフじいさんが壊した機械人形(「ヴォッコ3710」)、幽体離脱して好きな女性の危機を救った男(「人間ボート、あるいは水平移動の夜」)、アンデス山中で見たファニカの正体(「ひとりぼっちのファニカ」)、最果ての岬に響く哀調に満ちたバイオリンの音(「傷心の竜のためのバイオリンソナタ」)、真っ白な水着を着た僕たちの女神(「三十年前の夏休み」)などなど。

 笑いあり、涙あり、恐怖あり……直木賞作家が贈る、ちょっと不思議で懐かしい連作短篇集。