韓国の行動原理
発売日
2021年07月15日
判 型
新書判
ISBN
978-4-569-84998-0

韓国の行動原理

著者 小倉紀蔵著 《京都大学教授》
主な著作 『朝鮮思想全史』(ちくま新書)
税込価格 968円(本体価格880円)
内容 なぜ、法や条約よりも道徳を重視するのか。朱子学や「東学」、王朝の伝統などの背景を知れば、韓国の「いま」が読み解ける。



 日韓請求権協定に関わる報道に接して、韓国人の法意識に疑問を持つ人は少なくない。

 著者は韓国は法よりも道徳にこだわる国だと説く。朱子学の影響で、韓国では道徳は敵を叩き潰すための武器になっている。また、韓国の前近代が王朝であり、日本の前近代が封建社会であったことの違いも大きいといえる。

 道徳にこだわる社会であるために、民主主義という概念に対する捉え方も、日本と韓国では異なる。韓国における民主主義は、「道徳的社会を実現する」ためのシステムと見なされている。ただし「法を軽視する韓国の民主主義はレベルが低い」と考えるのは危険である。韓国の法曹的能力は高く、「法」に関する世界の最先端のトレンドに敏感である。その一方で、著者は韓国を国家と思わず、一つの「運動団体」と捉えたほうがよいと説く。

 韓国の実像は、日本ではまだまだ知られていない。韓国を知悉する東アジア思想研究者が、この国を理解するための視座を提供する一冊である。