頁数/仕様
120ページ / 縦:21cm 横:14.8cm
初版
2023年10月
在庫
在庫あり

帯状疱疹は自分で防ぐ! こうして改善できる!

50歳から急増し、80歳までに3人に1人が発症すると言われる帯状疱疹。正しい知識と適切な治療法、予防と改善のために免疫力を維持・向上させるセルフケアなどを紹介。
著者(肩書) 本田まりこ《まりこの皮フ科院長》
主な著作 『新版 帯状疱疹・単純ヘルペスがわかる本』(法研)
編集等
税込価格 1,430円   (本体価格:1,300円)
対象 一般
頁数/仕様 120ページ / 縦:21cm 横:14.8cm
初版 2023年10月

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「50歳を過ぎたら、帯状疱疹のワクチンをおすすめします」
そんな言葉が、テレビなどのマスメディアを通じて啓発される機会が増えました。コマーシャルで見聞きされている方も多いでしょう。

少し前まで、「帯状疱疹」という病名は、一般にほとんど知られていませんでした。そのため、帯状疱疹の初期症状である皮膚に痛みを感じた人が、内科や整形外科を受診し、湿布薬などを処方されて治療が遅れるケースが多くありました。
これは決して内科や整形外科の先生たちが悪いのではなく、帯状疱疹を専門に診療する皮膚科の医師であっても、皮膚症状が現われるまで帯状疱疹と確定診断できないのが現状です。
ですから、帯状疱疹の予防に努めましょうという啓発活動が盛んに行なわれるようになったことは、皮膚科の医師として、とてもうれしく思っています。
帯状疱疹の予防が近年になって注視されるようになった背景には、社会の高齢化が深く関係しています。
帯状疱疹を発症するしくみは本文で詳しく説明しますが、もともと幼少期にかかった水ぼうそうのウイルスが体内に残っていて、それが加齢に伴う免疫力の低下により再び活性化してしまうことが原因となります。
水ぼうそうのウイルスが体内に残っていても、40―50年は体に備わっている免疫力(病原体を退ける力)で封じ込めることができます。そのため、ひと昔前までは、帯状疱疹を発症する前に寿命を全うする人が多く、帯状疱疹で医療機関を受診する人は稀でした。

しかし、日本人の平均寿命が男女合わせて約85歳となった現在、子どもの頃に水ぼうそうにかかった人が、体内に残存していたウイルスによって帯状疱疹を発症するケースが増大しています。
50歳を過ぎると帯状疱疹の発症率が増え、80歳までにおよそ3人に1人が帯状疱疹になると言われています。

水ぼうそうのウイルスというと、「たいしたことない」と思う人も多いでしょう。たしかに子どもの頃に水ぼうそうにかかったときは、軽症で済む場合がほとんどです。しかし、50歳を過ぎてから帯状疱疹を発症した場合は、帯状疱疹は短期間で治癒しても、後遺症の「帯状疱疹後神経痛」という厄介な痛みに悩まされるケースが少なくないのが問題です。

50歳以上で帯状疱疹を発症した人のうち、およそ2割に帯状疱疹後神経痛が起こると言われています。重症の人では痛みが消えるまでに数年単位の歳月がかかり、そのストレスで仕事をやめざるを得なくなったり、家に閉じこもりきりになったりする人も少なくありません。高齢の人では、「寝たきり」につながる重大リスクにもなります。

帯状疱疹を発症した場合、早期に専門の医療機関で治療を受けることが先決です。ただし、帯状疱疹およびその後遺症である帯状疱疹後神経痛の治療に使われる薬は、効果が強い反面、体に負担が大きいのも事実です。
そこで、薬による治療が基本としても、患者さん自らが免疫力を高めるセルフケアに努めることにより、帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛の予防・改善が容易になることをお伝えしたく、本書を上梓しました。

帯状疱疹後神経痛につながりやすい危険因子として、次のようなものが知られています。
●女性である。
●タバコを吸っている。
●はっきりした激しい前駆痛(皮膚の痛み)がある。
●皮膚症状が重い(水ぶくれが大量にでき、広範囲に及んでいる。血の色をした水ぶくれがある)。
●刺激に対して敏感になる。あるいは鈍感になる。
●糖尿病や免疫不全につながる持病がある。

以上の因子に一つでも当てはまる人は、皮膚科での治療とともに、ぜひ今日から、本書のPART3で紹介するセルフケアに努めていただきたいと思います。

なお、帯状疱疹の発症に対しては、薬剤を用いた適切な治療が第一ですが、「薬に頼りすぎることなく」毎日のセルフケアでみなさんの「免疫力」の維持・向上を図っていただくことも、また大切だと思っています。
本書の内容が、帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛によるつらさや不安を解消、軽減する一助となることを願っています。  (「はじめに」より)

【PART1】「帯状疱疹」を知りましょう
・「帯状疱疹」は皮膚病ではなく神経のトラブル
・「帯状疱疹」の経過
・原因は、体内に残留する「水ぼうそうのウイルス」
・胸や顔に疱疹が現われやすい
・50歳を過ぎると帯状疱疹の発症率はぐんと高まる
・「免疫力」を下げる2つの要因
・「免疫力」が帯状疱疹を抑えるしくみ
・重症化する前に手を打つことが不可欠
・命を脅かす「合併症」
・「帯状疱疹」と「アトピー体質」
・「帯状疱疹」を発症しやすい人、発症しにくい人
・長く痛みが残る「帯状疱疹後神経痛」
・こんな人は「帯状疱疹後神経痛」につながりやすい
・「帯状疱疹後神経痛」の感じ方は十人十色
≪コラム≫帯状疱疹と間違われやすい「単純ヘルペス」

【PART2】「帯状疱疹」の治療と予防
・早期受診、早期治療が大切
・「抗ウイルス薬」の働き
・「鎮痛薬」の併用
・「ペインクリニック」の利用
・入院治療
・「帯状疱疹後神経痛」の治療薬と治療法
・そこが知りたい! 帯状疱疹Q&A

【PART3】「帯状疱疹」を予防・改善する毎日のセルフケア習慣
■食生活
・腸内環境を整える食事(1)発酵食品
・腸内環境を整える食事(2)食物繊維の豊富な食品
・腸内環境を整える食事(3)たんぱく質を積極的に摂る
・血流を促して体を温める食事 香辛料を上手に使う
・免疫力を上げる効果が明らかになっている食品 きのこ類
・抗ウイルス薬を服用中はこまめな水分補給が必須
・水ぶくれが治まるまで飲酒は厳禁
・よく噛んで食べる、楽しく会話しながら食べる
■適度な運動
・発症直後は安静にし、痛みがやわらいできたら意識的に体を動かす
・1日10回のスクワットで体温を上げる
・無理のない「らくらく散歩」がおすすめ
・腸内環境をよくするストレッチ(1)上半身ねじり
・腸内環境をよくするストレッチ(2)太もも抱え
■ストレス対策
・自律神経を整える生活習慣(1)食事と睡眠の時間を一定にする
・自律神経を整える生活習慣(2)腹式呼吸
・「ストレスの原因を切り捨てるきっかけ」と考えてみる
・1日1-2時間の「リラックスタイム」をつくる
■暮らし
・入浴するときは40℃で15分の半身浴を
・就寝の3時間前には食事や入浴を済ませる
・発熱や皮膚の熱感がないときは入浴して大丈夫
・「リンパマッサージ」で老廃物をデトックスする
・温めるか冷やすかは自分の感覚を優先
・目の周囲に帯状疱疹ができたときはコンタクトレンズの使用をやめる
・帯状疱疹がうつる人、うつらない人
・夢中になれることを探す「ゲートコントロール機能」
・セルフケアには家族の協力が大きな助けに
・50歳を過ぎたらワクチンの接種を考えるのも一案
・健康診断を定期的に受けることも大切