人名事典

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宮本光晴

(みやもと・みつはる)
 一九四八年大阪府生まれ。横浜国立大学経済学部を卒業後、一橋大学大学院博士課程修了。専修大学助教授を経て、教授。専攻は企業経済論。

 現在、批判の対象となっている「日本型経営システム」を、さらに現代資本主義の動向のなかで再検討した『日本型システムの深層』(東洋経済新報社九七年)は、その重厚な議論によって軽佻浮薄な「改革論」に警鐘をならした。

 宮本氏によれば、かつて経済学者シュンぺーターが「資本主義は生き延びられない」と論じたとき、その理由としていたのが「企業者機能の無用化」「制度的骨組みの破壊」「擁護層の破滅」「増大する敵対」であったという。

 しかし、それらは数十年の間にそれぞれの国がそれぞれの方法で克服した。その日本的な方法が「日本型システム」であるかぎり、問題はもっと深いというのである。氏は「改革論」が掲げる処方箋をひとつひとつ検討し、急速な「改革」に深い疑問を投げかけている。

 また、数年前の「一九四〇年体制論」流行のさいには、『諸君!』(九五年八月号)誌上で論拠薄弱な「革命ロジック」にすぎないと批判した。氏の流行に組みしない、厳密な思考による議論は、雰囲気で論じられがちな経営論にとりきわめて貴重である。

 著作に『日本人はなぜイギリス人に憧れるか』(PHP研究所)『企業と組織の経済学』(新世社)がある。

(データ作成:1997年)