人名事典

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渡辺 格

(わたなべ・いたる)
 一九一六年島根県生れ。東京帝国大学理学部卒。米国カリフォルニア大研究員、東大教授、京都大学ウイルス研究所教授、慶應義塾大学医学部教授を経て名誉教授。

 戦後のDNA研究の先駆者で、生命現象の実体を分子レベルで解明する分子生物学の日本の草分け的存在。RNA(リボ核酸)ウイルス研究に多大の業績を残し、抗体遺伝子研究でノーベル生理・医学賞を受賞した利根川進氏の京大大学院時代の師。戦争直後からのDNA信奉者だ。早くから遺伝子操作を「人間の問題」と位置付け幅広い応用に着目。しかし、官学一体で推進する欧米諸国に対し、対応の鈍い日本では援護がなく後れをとったことが悔やまれる。遺伝子組み替え技術などDNA新時代に向けた教育実践の必要性も強調。

(データ作成:1997年)