人名事典

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猪木正道

(いのき・まさみち)
 一九一四年京都府生れ。東京帝国大学経済学部卒。三菱信託に入社、成蹊高校教授、京都大学教授、防衛大学校長を経て平和・安全保障研究所会長。京都大学名誉教授。

 早くからソ連共産主義が非人間的な独裁政治にほかならないことを指摘、共産主義批判に大道を開くと同時に、いわゆる「吉田外交」を理論化し、現実主義外交派の総帥として官界・学界に多くの後進を育てた。

 最近は、憲法改正はすべきでないとしつつも、現在の政府解釈「日本には集団的自衛権はあるが、憲法の規定により行使できない」は、吉田茂が自衛権について行なった「非常識な」国会答弁に発端があると発言(『Voice』96年7月号)、自衛戦争を放棄していない「芦田・佐々木」解釈に戻ることを提唱して注目された。

 著書『猪木正道著作集』(全5巻、ブレーン出版、91年)、『独裁の政治思想』(創文社、84年)、『共産主義の系譜』(増補 角川文庫、84年)。

(データ作成:1997年)