人名事典

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蓮實重彦

(はすみ・しげひこ)
 一九三六年東京都生れ。東京大学大学院人文科学研究科仏文学専攻博士課程中退。現在、東京大学教養学部表象文化論科教授。

 パリ第七大学で日本語科講師を務める傍ら熟読したドゥルーズ、バルト、フーコーらフランス現代思想家を日本に紹介。七四年、『批評あるいは仮死の祭典』(せりか書房)で批評家としてデビューする。以来、『表層批評宣言』(ちくま文庫、85年)などを発表し、批評家の大看板として柄谷行人氏と並び君臨する。九四年四月から九六年三月にかけて手がけた『朝日新聞』の文芸時評でも、「できごと」との「遭遇」によって生み落されるべき思考を抑圧してまわる九○年代的「陰謀」に対して、鋭く切りかかった。なかでも、『ソフィーの世界』が「知識の民主化を装った、大がかりな思考の破壊工作」にほかならず、「地球的な規模で進行しつつあるこの悪しき陰謀は、日本では人生論への誘惑として表れている」との批評は根源的だ。

 著書に『映画に目が眩んで口語篇』(中央公論社、95年)、『魂の唯物論的な擁護のために』(日本文芸社、94年)。

(データ作成:1997年)