人名事典

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高階秀爾

(たかしな・しゅうじ)
 一九三二年東京都生れ。東京大学教養学部卒。パリ大学で近代美術史を研究。東大教授を経て、国立西洋美術館長。

 西洋美術史学界の重鎮。イタリアルネッサンスを原点に世界の美を縦横無尽に切る。代表作『ルネッサンスの光と闇』(中公文庫、87年)にみるように、芸術とその生れた精神風土の切っても切れない関係を突き詰める。象徴主義からリアリズム、黒田清輝から夏目漱石、そして知られざる傑作を論じる。『産経新聞』(94年9月9日朝刊)では梅棹忠夫氏と対談、「文化国家への道を歩むため、日本から世界へ芸術情報を発信せよ」と呼び掛け、『中央公論』(95年4月号)では「国際化の中の現代美術」と題し、「多元主義こそすぐれて日本的な特性ではないのか。日本は一世紀も前から脱ヒストリー的特性を持っていたように思える」と問題提起。美の探索者は日本的な美の普遍化をも視野に入れている。

 著書に『世紀末芸術』(紀伊國屋書店、81年)ほか。

(データ作成:1997年)