悲しみの精神史
発売日
2002年01月16日
判 型
四六判上製
ISBN
978-4-569-61978-1

悲しみの精神史

著者 山折哲雄著 《国際日本文化研究センター所長》
主な著作 鎮守の森は泣いている』(PHP研究所)
税込価格 1,540円(本体価格1,400円)
内容 幸福と成功を追い求めることだけが人生なのか? 日本人の底流に流れる悲しみの旋律を描いた渾身の作品。



 国際日本文化研究センター所長にして宗教学の権威でもある著者は問う。「幸福と成功を追い求めるだけが人生なのか」と。むしろ著者は「不幸な悲しみに耐えている人間に尊敬を抱く」とも。その問題意識のもと、自らの死を予感していた源実朝、親族を皆殺しにした北条時頼、乞食願望を持ち続けた松尾芭蕉、キリスト教に入信した支倉常長、死んだ妹の魂を追いかけて旅した宮沢賢治、殉死の予行演習をしていた乃木希典、?外晩年の著作に執着した松本清張、死後も自分の欲望を満たそうとした谷崎潤一郎、『黒い雨』に慟哭の通奏低音を挿入した井伏鱒二、上官の罪を背負って処刑された青年学徒などを取り上げつつ、縄文の昔から日本人の底流に流れ続ける「悲しみ」の旋律を描いた渾身の作品。幸福願望ばかりが肥大化する現代において、「孤独とは何か」「人生の無常とは何か」を考えるうえで大切な視点を提示してくれる一冊でもある。