上海
発売日
2004年01月15日
判 型
新書判
ISBN
978-4-569-62832-5

上海
大陸精神と海洋精神の融合炉

著者 田島英一著 《慶應義塾大学総合政策学部助教授》
主な著作 『「中国人」という生き方』(集英社新書)
税込価格 924円(本体価格840円)
内容 変貌を遂げゆく上海。そこは中国社会の異端的存在で、様々な人間がつくりあげてきた歴史があった。世界に開け放たれた街を読み解く。



 90年代に急成長した上海。そこは古来、漢民族が定住しシルクロードへと続く中央の大陸世界と、貿易が盛んな南方の海洋世界とを繋ぐ、文明の交差点だった。

 本書の第1部では、上海の歴史をひも解く。国内と海外の市場を結び、東アジア経済の中心をなす地勢の形成。そして時の政権や中国特有の自然の作用などによる発展と停滞。こうした変遷から、上海という街の本質に迫る。

 第2部では、筆者の留学体験や、政治・経済・社会・思想・文化の動向などをまじえながら、人材や資本が流入する街と人の魅力を探る。ホームレスの身から巨万の富を築いた浙江(せっこう)商人。企業の生産拠点を移しつつある台湾人。身一つで出稼ぎにくる安徽(あんき)人。租界(そかい)時代さながらに進出する外国資本…。様々な人間によってもたらされる多様な外来文化を取り入れ、ボーダレスなネットワークを築く上海人。その開け放たれた可能性を気鋭の中国研究者が読み解く。