人間失格・富嶽百景
発売日
2009年04月01日
判 型
文庫判
ISBN
978-4-569-67239-7

人間失格・富嶽百景

著者 太宰治著 《作家》
主な著作 『斜陽』『走れメロス』(新潮文庫)
税込価格 503円(本体価格457円)
内容 現代の若者も支持し続ける、太宰治の代表作2編を完全復刻。文字をグッと大きく読みやすくしました。巻末に綿矢りさのインタビュー付。



 「恥の多い生涯を送ってきました」(『人間失格』)、「富士には月見草がよく似合う」(『富嶽百景』)の名フレーズで知られる両作品は、太宰晩年のすべてを注ぎ込んだ傑作VS安定した時代の名文が味わえる傑作、という好対称を成している。

 自殺する1ヶ月前に完成した『人間失格』は太宰治の半生を綴った遺書といえる作品。自分以外の人間すべてを極度に恐れ、自殺未遂を繰り返し、薬物中毒となった彼の果てとは……。

 一方、太宰治の人生において充実した時期に書かれた『富嶽百景』は井伏鱒二と共に富士、御坂峠に滞在していた頃の作品。

 当時、井伏氏の紹介で見合いをし、翌年、結婚している。そんな幸福な時期の彼の爽やかな心情が、富士の情緒と共に随所に散りばめられている。

 この対照的な明暗二作品を、大きな字、豊富なふりがなと註記でじっくり味わえる。解説:太田治子、鑑賞:童門冬二、特別インタビュー:綿矢りさ、PHP文庫オリジナル編集。