西郷隆盛と大久保利通
発売日
2017年11月01日
判 型
文庫判
ISBN
978-4-569-76777-2

西郷隆盛と大久保利通
破壊と創造の両雄

著者 立石優著 《作家》
主な著作 奇跡の駆逐艦「雪風」』(PHP研究所)
税込価格 858円(本体価格780円)
内容 友情を育んだ少年期、倒幕に邁進した壮年期、そして袂を分かった西南戦争……。二人の間に何がおきたのか。その心情に迫った歴史長編。



 2018年の大河ドラマで注目!

 攻撃の西郷隆盛と、守備の大久保利通。まったく正反対の二人は、いかに時代を歩んだのか――。

 (また吉どんの後始末じゃ)大久保は、西郷にいささかうんざりした――。信念によって動き、攻める時には無類に強いが、守勢に回ったときには、あっさり投げ出してしまう西郷。そんな西郷に振り回されながらも、その長所と短所をよく知り、持ち前の粘り強さで支えていく大久保利通。幼少期から晩年の訣別までを新視点でとらえ、余人にはうかがい知れぬ両雄の絆に迫り、維新回天に果たした二人の役割を活写した歴史長編。

 文庫書き下ろし。

 (本文より)「吉どん」正助は強い口調で呼びかけた。「それはなりもはん。どげなことがあろうと、太守様の命に反してはなりもはんぞ」正助から直言されたのは初めてのことで、吉之助は少し驚いた風であった。正助はなお続けた。「又次郎君を世子に定められもした太守様の心中、われらが察し申さねば、これ以上の不忠はごわはんぞ」二人はにらみ合った。