終わらないラブレター
発売日
2009年08月05日
判 型
四六判並製
ISBN
978-4-569-77093-2

終わらないラブレター
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」

著者 桜林美佐著 《フリーアナウンサー》
主な著作 『奇跡の船「宗谷」』『海をひらく』(以上並木書房)
税込価格 1,430円(本体価格1,300円)
内容 祖父母から戦争を知らない孫へ語り継ぐ風化させてはならない戦争の記憶。命懸けで日本と愛する人々を守った先人たちの誇り高い物語。



 「文ちゃん、誰か好きな人とか、付き合っている人はいるのかな」

 「ええ? そんなことは考えたこともなかったわ」

 「それじゃあ、文ちゃん、川村のことをどう思う?」

 「川村さん……? そりゃ、いい人だと思うけど……、でも、私にとってはみんな同じくらいいい人だわ……」

 「もし、文ちゃんが嫌じゃなかったら、川村との交際を考えてもらえないかな」

 

 戦争の真っ只中、こうして文子さんと川村さんの交際は始まったが、海軍に所属していた川村さんはあちらこちらを飛び回っていてなかなか会えず、唯一のコミュニケーション手段は手紙だけだった。文通というかたちで交際を続け、ついに2人は結婚することに。しかし、その結婚式は……。

 

 戦争という非情な境遇の中でも、人々は互いを思いやり、恋をし、遊び、希望を持って一所懸命に生きた。悲惨なことばかりではない、「暗黒の時代」と呼ばれる先の大戦を強く明るく生き抜いた人々の、もうひとつの戦争体験記。