花ならば花咲かん
発売日
2011年03月07日
判 型
四六判上製
ISBN
978-4-569-79499-0

花ならば花咲かん
会津藩家老・田中玄宰(はるなか)

著者 中村彰彦著 《作家》
主な著作 『落花は枝に還らずとも(上・下)』(中公文庫)
税込価格 2,090円(本体価格1,900円)
内容 財政悪化と藩風の乱れに直面した江戸中期の会津藩を、根底から立て直した名家老・田中玄宰。廉潔かつ英知あふれる改革者の生涯を描く。



 「会津藩」といえば、佐幕派の雄とされた幕末屈指の強藩である。しかし江戸中期には莫大な借金に苦しみ、士民ともに風紀が乱れて深刻な危機に直面していた。その会津藩を立て直し、「中興の名家老」と称えられるのが本書の主人公・田中玄宰(はるなか)である。

 玄宰は、藩祖・保科正之を補佐した家老・田中正玄(まさはる)の子孫であり、代々家老を輩出する名家の出であった。その聡明な資質は、早くから藩主・松平容頌(かたのぶ)の愛でるところとなり、玄宰は主君の全幅の信頼を得て数々の改革を断行する。

 財政再建では藩の借金を半減させ、殖産興業では酒造、漆器、本郷焼、朝鮮人参など現代に残る産業を興し、教育改革では藩校「日新館」を創設するなど、その八面六臂の活躍は「天性の改革者」と呼ぶにふさわしい。

 本書は、十分に顕彰されずに来た田中玄宰の生涯を、君臣の情や夫婦愛の物語も盛り込み、入魂の筆致で描ききった長篇歴史小説である。