文体トレーニング
発売日
2012年12月05日
判 型
四六判並製
ISBN
978-4-569-80876-5

文体トレーニング
名文で日本語表現のセンスをみがく

著者 中村明著 《早稲田大学名誉教授》
主な著作 『語感トレーニング』(岩波新書)
税込価格 1,430円(本体価格1,300円)
内容 わかりやすいだけが良い文章ではない! 書き出し、結び、レトリック、比喩など、心を揺さぶる表現のエッセンスを名作文学から学ぶ。



 この本は「入門」や「書き方」の類や堂々と「表現法」と名のる本とも、高らかに「技術」を謳う文章テクニックの本とも違う。

 日本語研究の第一人者が、その研究成果の上に立って、“書く”という立場からまとめたひとつの文章読本だ。

 漱石、芥川、川端、井伏、太宰らの、日本を代表する作家の名文を取り上げ、「わかりやすさと思いやり」「唐突な書き出し」「レトリックのねらい」といった文体の決め手となる発想や文章表現のコツを21のポイントに分けて体系的に解説。

 (本文より、一部抜粋)

 【人物を描く】

 「駅長さん、弟をよく見てやって、お願いです。」 悲しいほど美しい声であった。高い響きのまゝ夜の雪から木魂して来そうだった。──川端康成『雪国』

 →心情的な「悲しみ」と感覚的な「美しさ」という思いがけない結びつきが読者をはっとさせる。

 優れた表現の妙に感心するうちに、自らの「文体」をつかむためのヒントが見えてくる。