仙がい 無法の禅
発売日
2015年06月11日
判 型
A5判並製
ISBN
978-4-569-82516-8

仙がい 無法の禅

著者 玄侑宗久著 《福聚寺第35世住職、作家》
主な著作 『光の山』『祈りの作法』(以上新潮社)
税込価格 1,650円(本体価格1,500円)
内容 こんな時代だからこそ知っておきたい禅僧仙がいの人生と思想を、彼が残した味わい深い絵と書から、禅僧である著者が読み解いていく一冊。



 仙がい義梵(ぎぼん)といえば、飄逸な禅画と逸話で「博多の仙がいさん」と親しまれる江戸後期の禅僧。出光興産の創業者・出光佐三がその画風を深く愛し、コレクションしたことでも知られる。

 仙がいが、博多・聖福寺の住職になるのは40歳だが、それ以前の姿は詳しく伝わっていない。しかし作家にして僧侶の著者が住持する福島県三春町の福聚寺には、仙がいの筆による聯(れん)が残されているのだ。

 若き日の仙がいは、不遇な己れへの怒りを抱え、大飢饉に苦しむ東北を行脚していたらしい。各寺に残る画や墨蹟には、後年の洒脱で優しげな「仙がいさん」の面影はない。

 本書は、葛藤のなかで、峻厳な青年僧から洒脱な和尚さんとなる仙がいの境地について、若き日からの作風の変遷や、断片的な資料から考察し、著者ならではの見地から力強くせまっていく。

 仙がいの禅画を深く理解するうえで、貴重な道標となる好著。世に知られる代表作も多数収録され、眺めるだけで癒される。