人名事典

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小倉和夫

(おぐら・かずお)
 一九三八年東京都生れ。東京大学法学部卒。外務省入省、北東アジア課長、文化交流部長、経済局長、駐ベトナム大使を経て外務審議官。

 外務省「アジア重視派」の象徴的存在。経済局長時代、マレーシアのマハティール首相が提案した東アジア経済協議体(EAEC)構想に共鳴したが、米国が同構想に反発したために「反米主義者」のレッテルをはられた。

 日本の外交文化を、時の国際秩序を所与の条件として忠節を競いがちな「出世主義」と批判し(『Voice』93年1月号)、米国に対しては「アジア化」するよう求めるなど(『中央公論』93年7月号)、たしかに現役の外交官としては異色な存在だが、「国際社会の建設者」としての日本外交を提唱する言論は説得力をもつ。

 著書『日米経済摩擦』(改訂版、朝日文庫、91年)、『東西文化摩擦』(中央公論社、90年)、『権力の継承』(日本国際問題研究所、85年)。

(データ作成:1997年)