人名事典

>> 検索トップへ

高村 薫

(たかむら・かおる)
 一九五三年大阪府生れ。国際基督教大学フランス語専攻卒。商社勤務を経て作家に。

 九○年『黄金を抱いて翔べ』(新潮社、日本推理サスペンス大賞)でデビュー。九三年『マークスの山』(早川書房)で直木賞受賞。日本人離れした圧倒的に緻密な描写で、瞬く間に推理作家の第一人者となる。

 「被害者はもちろん、犯罪者も、それを追う刑事も救われない。それが犯罪」「私にできるのはただ、現実を直視することだけ」と、ドキュメンタリー・タッチの作品にこだわる。が、リアリストだけに、阪神大震災は「自分の地平」を決定的に変えると予感した。震災から一年半後、「この世には確かなものなど一つもないことが、今ごろこの身にしみてきているのだろうか」なにもかもが「ピンと来ない」と心境を語った。(『読売新聞』大阪、96年7月12日夕刊)。

 著書に『照柿』(講談社、94年)、『リヴィエラを撃て』(新潮社、92年、推理作家協会賞)ほか。

(データ作成:1999年)