天馬の歌 松下幸之助
発売日
2001年03月01日
判 型
文庫判
ISBN
978-4-569-57530-8

天馬の歌 松下幸之助

著者 神坂次郎著 《作家》
主な著作 『縛られた巨人 南方熊楠の生涯』(新潮文庫)
税込価格 901円(本体価格819円)
内容 大阪へ小僧に出された紀州和歌山の泣き虫少年が、知恵と勇気で激動の時代を乗り切り、“世界の松下幸之助”になるまでを描く傑作長編。



 一家の没落から、大阪へ奉公に出された紀州和歌山の泣き虫少年。火鉢屋、自転車屋の丁稚を経て電気工に転身した彼は、やがて工夫を重ねて改良ソケットを開発。借家の四畳半を作業場に独立を果たす――世界的大企業を築き上げた経営者・松下幸之助の出発である。

 「経営の神様」と呼ばれ、その生涯を描いた本も数多い幸之助だが、少年期・青年期のエピソードはあまり詳しく知られていない。自転車競争の選手になってレースに熱中したり、セメント会社で肉体労働に従事したりする若き幸之助の姿は、どこにでもある青春群像そのものである。そんな彼が、並はずれた強運と時代を見抜く天賦の才で、成功をたぐりよせていく歩みをさわやかに描き上げたのが本作だ。

 同じ和歌山出身であり、明治・大正・昭和を舞台に多くの作品を発表してきた著者は、練達の筆で松下幸之助の青春を時代のなかに鮮やかに浮かび上がらせた。まったく新しい視点で幸之助像に迫った傑作小説。