歴史をいかに学ぶか
発売日
1999年12月20日
判 型
新書判
ISBN
978-4-569-60919-5

歴史をいかに学ぶか
ブルクハルトを現代に読む

著者 野田宣雄著 《南山大学教授》
主な著作 『二十世紀をどう見るか』(文藝春秋)
税込価格 726円(本体価格660円)
内容 人生の教師となる歴史観を持つ??私的人間に徹した歴史家の言説を通して、進歩史観崩壊後の危機の時代にどう臨んでいくかを洞察する。



 「ナチズムの出現」「不安定な時代を招く大衆の登場」「アメリカ流ビジネス文明の蔓延」など21世紀の問題を予見していた19世紀の歴史家・ブルクハルト。世紀の変わり目に来て、歴史を見直す傾向のなか、バーゼルの異端的歴史家に何を学ぶか?

 本書では、進歩史観の生き詰まりにいたる「歴史観の歴史」の概要をつかみ、「歴史の危機とは何か。その克服法はあるか?」という問いを、ブルクハルトとその歴史観の紹介を通して明らかにしていく。

 近代進歩史観信奉を経て、マルクス流だけでなく自由主義的進歩史観も凋落していった。進歩史観の限界に直面した現代にこそ、「歴史は人間精神の連続体」「人生の教師である」と捉え、「歴史の営みはおぼろげな謎」「未来は知りえないから未来である」という深い懐疑の精神に貫かれた歴史観が、危機の時代を乗りきる指針として価値をもつ。

 決着に何十年を要する今回の危機に臨んで、21世紀を生きぬく智恵を示す。