世界遺産・秘められた英雄伝説
遺跡・建造物が語りかける「壮大なドラマ」

　世界遺産に登録された遺跡や建造物には、それを築き上げた英雄たちのロマンあふれる物語が眠っていることが多い。たとえばエジプトのアブ・シンベル大神殿（1979年指定）には、エジプト史上、最も偉大なファラオといわれたラメセス2世のある意志が存在していた。フランスはパリのセーヌ河岸（1991年指定）には、凱旋門をはじめ、英雄ナポレオンの伝説が色濃く刻印されている。世界遺産はまさに、たんに風景を楽しむだけでなく、歴史上の傑物たちの壮大なドラマを追体験する上での舞台装置でもあるのだ。

　本書では、世界各地に点在する世界遺産のなかから、とくに興味深いエピソードが残る遺産を厳選、36のストーリーを貴重な写真とともに紹介した。始皇帝、カエサルからスペインの英雄エル・シッド、バングラデシュの聖者ハーン・ジャハーンまで、世界遺産にまつわる様々な英雄物語を、読みやすく一冊にまとめたユニークな歴史読み物。文庫書き下ろし。