明智光秀
発売日
2005年02月01日
判 型
文庫判
ISBN
978-4-569-66345-6

明智光秀
なぜ「本能寺」に向かったか

著者 嶋津義忠著 《作家》
主な著作 上杉鷹山』(PHP研究所)
税込価格 796円(本体価格724円)
内容 「ときは今 天が下しる 五月哉」――天下万民の幸福を願い、本能寺で信長に反旗を翻した明智光秀。その理想に殉じた男の生涯を描く。



 <水色桔梗>の幟が京の町を埋め尽くす。間もなく夜が白み始める虎の中刻、本能寺の四囲を完全に包囲し終えた光秀の高らかな声が、ひそとした本能寺の中に吸い込まれる――「明智日向守光秀、織田弾正忠信長殿の御首、頂戴仕る!」

 「本能寺」から遡ること二十数年、美濃明智城の陥落から最愛の妻子と共に落ち延びた光秀は、諸国を流浪する苦難の時代を迎える。

 一度は滅んだ明智の再興を目指す光秀だが、いつしかその心は、乱世に平穏をもたらす主君を求めてやまなくなる。朝倉義景に失望し、将軍足利義昭を見限り、ついに光秀は己が主君として信長を見出した。

 信長の掲げる<天下布武>への尽力によって異例の出世を果たし、一介の牢人から三十四万石の城主にまで上り詰めた光秀。その光秀を、自身が望んだ乱世の平定を目前にして「本能寺」へと駆り立てたものは何だったのか。天下万民の幸福を心から願い続けた孤高の智将の生涯を描く。

 文庫書き下ろし。