日本人の暮らしのかたち
発売日
2007年09月03日
判 型
文庫判
ISBN
978-4-569-66907-6

日本人の暮らしのかたち

著者 森本哲郎著 《評論家》
主な著作 生き方の研究』、『ことばへの旅 上・下』(PHP研究所)
税込価格 681円(本体価格619円)
内容 かつて日本人の暮らしとともにあった火鉢、下駄、井戸、提灯、露地、濡れ縁。これらが無くなることで、私たちは何を失ったのだろうか?



 遠い昔から、ずっと日本人の暮らしと共にあったものたち。――火鉢、下駄、手拭い、提灯、屏風から、井戸、水車、濡れ縁、露地などである。これらのものが、私たちの生活の中から消え去って久しい。

 確かに、戦後になって生活様式は急速に西洋風化し、日々の暮らしは便利になった。しかし、そうなっていく中で、私たち日本人は、何か大切なもの、暮らしの実感や味わいを無くしてきたのではないのか? という問いかけの書である。

 たとえば火鉢。現代のエアコンに比べてはなはだ効率の悪い暖房器ではあったが、それが消え去ることで、冬の夜のコミュニケーションも失われてしまった、と著者は言う。

 伝統や文化、しきたりとは、捨てては拾い、失っては求めるというプロセスを経て、次代へ受け継がれていくものであろう。本書で採り上げられた23の「失われたものたち」が、読者に、日本人のあるべき「暮らしのかたち」を考える機縁を与えてくれるにちがいない。