丘の上の赤い屋根
発売日
2010年06月16日
判 型
四六判並製
ISBN
978-4-569-77999-7

丘の上の赤い屋根

著者 青井夏海著 《作家》
主な著作 雲の上の青い空』(PHP研究所)
税込価格 1,760円(本体価格1,600円)
内容 父の遺産を受け継ぐ形で地方都市に移住した真希。ラジオ局で働き地域にとけ込もうとするのだが、弟と名乗る男が現れて……。



 波多野真希の心には「赤い屋根」の映像が残っていた。幼い時の記憶かどうか定かではないが、時折ふっと、それが浮かんでくるのだ。

 亡くなった父の遺産をもらい受け、30代を前にして、東京近郊の都市へと移った真希。父は、屋敷と呼べるほどの大きな家と、広い敷地、そして敷地内に立つアパートを真希に残してくれた。屋敷がある市には、コミュニティーFMがあった。このラジオ局、社長は、やる気があるのか、ないのかわからないし、他のパーソナリティーも所詮素人の寄せ集めとしか思えない。プロは子役として脚光を浴び、学業優先のため一時、休業していた俳優業を再開した鏑木航のみ。

 引越しの荷解きも終わらぬ最中(さなか)、真希のもとに「この土地は、市に寄贈されるはずの土地だ!」と市議会議員が訪れ、「そんなはずは……」と困惑してしまう。さらに「あなたの弟です」と話す男まで現れた! 小さなFM局で巻き起こる、ひと夏のハートフル・ストーリー。