太平天国戦記
発売日
2012年04月20日
判 型
四六判上製
ISBN
978-4-569-80354-8

太平天国戦記

著者 柘植久慶著 《作家》
主な著作 常勝将軍 立見尚文』(PHP研究所)
税込価格 2,420円(本体価格2,200円)
内容 中国清末、洪秀全が樹立した「太平天国」は、同時に多くの矛盾を抱え、滅びへの道を歩み出す。構想七年、その真実の姿を描いた力作長編。



 19世紀中葉、清朝打倒を掲げて中国南部に蜂起、長江下流域に強勢を誇った太平天国。拝上帝教をもとに、漢民族の復興を掲げた指導者・洪秀全は、強力な軍団を組織して清朝勢力を駆逐していった。ところが南京に至り、天京と名づけて都とすると、洪秀全ら上層部は貴族的生活に染まり始める。

 「なぜ、一気に進撃しなかったのか?」――大陸情勢の視察を命じられた紀州藩士・蜂田十兵衛は、そんな疑問を投げかける。金ピカの宮殿や装束、不毛な権力抗争と粛清の嵐、清朝軍やゴードン将軍率いる常勝軍からの猛攻、無気力なまでに何もしない天王こと洪秀全……戦乱の只中に身を投じながら、蜂田十兵衛は絶頂から転落していく太平天国を目のあたりにする。

 構想・取材に7年を費やした著者渾身の長編小説。戦記として描かれているが、そこで語られるのは戦う姿勢を失った組織が自壊していく過程であり、太平天国を反面教師とする「勝つ組織」への教訓の書といえる。