雑誌
Voice 2016年4月号
今月号の読みどころ
中国は全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、今後GDP成長率目標をこれまでの7%から引き下げ「6.5%以上」にするとした。実際の経済成長率は発表される数字の半分程度ともいわれるが、いずれにせよ世界経済を牽引してきた中国経済の高度成長は止まったようだ。しかし、貿易取引の大きな日本や韓国への影響は深刻だ。
チャイナショックは、リーマン・ショックに匹敵するほどだという意見も聞く。4月号の総力特集は「チャイナショックが来る」と題し、世界経済にどれほどの影響があるのかを分析した。津上俊哉氏は「いまの中国は、日本の1990年代バブル崩壊、米国のITバブル崩壊およびリーマン・ショック後とそっくりな動きを示していることがわかる」と述べ、片岡剛士氏は「懸念すべきはデフレ、株安、人民元レートの対ドルでの急落といったマネーを通じた混乱であり、これが長期化する可能性が高まっている」と読む。また、武者陵司氏は「この金融波乱は人類の歴史上最大の過剰投資を行なった中国において、長く続く清算過程が始まったことの狼煙というほかはない」と懸念する。一方で、韓国経済のダメージも大きい。シンシアリー氏は景気を論ずるとき、廃紙(古紙、段ボールなど)拾いに注目しこういう。「景気そのものが沈んでいるので、商品が売れない。商品が売れないから、リサイクルの需要も減る」。そして「古物商が廃業したのは、同じく古紙を買い取る企業が苦しいからだ。小さな企業がつぶれるのは、大きな企業が苦しいからだ」と、不況の連鎖を説明する。堤堯氏は鼎談のなかで「韓国は中国ともスワップ協定を結んでいるが、中国経済の雲行きが怪しくなってきて、またぞろ日本にとりすがってきた。昔からあの国は、あっちに擦り寄りこっちに擦り寄り、二股三股外交をやらなきゃ生き延びられない」と、最近の日韓関係を端的に評する。
第二特集は「老後は怖くない」。ミリオンセラーとなった『嫌われる勇気』の著者岸見一郎氏は「人生とは、ゴールをめざして走り抜くレースではなく、いまこの瞬間を旋回するダンスのような刹那の連続である。どこに向かうのでもなく『いまこの瞬間、自分は充実している』という感覚こそ人間にとって完全で美しいものです」と説く。ほかに「母よ、あなたは私の太陽です」(石黒マリーローズ氏)、「老化防止の秘訣は日本食にあり」(白澤卓二氏vsエリカ・アンギャル氏)といった企画でまとめた。巻頭は、竹内弘高氏と佐藤智恵氏が東北の震災から5年が経ち、「東北から始まる『賢慮の資本主義』」との対談を行なっている。日本の進むべき道が示唆されているという意味では、遠藤功氏の「現場資本主義が世界を救う」との記事と併せて読んでいただきたい。
チャイナショックは、リーマン・ショックに匹敵するほどだという意見も聞く。4月号の総力特集は「チャイナショックが来る」と題し、世界経済にどれほどの影響があるのかを分析した。津上俊哉氏は「いまの中国は、日本の1990年代バブル崩壊、米国のITバブル崩壊およびリーマン・ショック後とそっくりな動きを示していることがわかる」と述べ、片岡剛士氏は「懸念すべきはデフレ、株安、人民元レートの対ドルでの急落といったマネーを通じた混乱であり、これが長期化する可能性が高まっている」と読む。また、武者陵司氏は「この金融波乱は人類の歴史上最大の過剰投資を行なった中国において、長く続く清算過程が始まったことの狼煙というほかはない」と懸念する。一方で、韓国経済のダメージも大きい。シンシアリー氏は景気を論ずるとき、廃紙(古紙、段ボールなど)拾いに注目しこういう。「景気そのものが沈んでいるので、商品が売れない。商品が売れないから、リサイクルの需要も減る」。そして「古物商が廃業したのは、同じく古紙を買い取る企業が苦しいからだ。小さな企業がつぶれるのは、大きな企業が苦しいからだ」と、不況の連鎖を説明する。堤堯氏は鼎談のなかで「韓国は中国ともスワップ協定を結んでいるが、中国経済の雲行きが怪しくなってきて、またぞろ日本にとりすがってきた。昔からあの国は、あっちに擦り寄りこっちに擦り寄り、二股三股外交をやらなきゃ生き延びられない」と、最近の日韓関係を端的に評する。
第二特集は「老後は怖くない」。ミリオンセラーとなった『嫌われる勇気』の著者岸見一郎氏は「人生とは、ゴールをめざして走り抜くレースではなく、いまこの瞬間を旋回するダンスのような刹那の連続である。どこに向かうのでもなく『いまこの瞬間、自分は充実している』という感覚こそ人間にとって完全で美しいものです」と説く。ほかに「母よ、あなたは私の太陽です」(石黒マリーローズ氏)、「老化防止の秘訣は日本食にあり」(白澤卓二氏vsエリカ・アンギャル氏)といった企画でまとめた。巻頭は、竹内弘高氏と佐藤智恵氏が東北の震災から5年が経ち、「東北から始まる『賢慮の資本主義』」との対談を行なっている。日本の進むべき道が示唆されているという意味では、遠藤功氏の「現場資本主義が世界を救う」との記事と併せて読んでいただきたい。
公式サイト |
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今月号の目次
巻頭特別企画 東北から始まる「賢慮の資本主義」 |
竹内弘高VS佐藤智恵 |
20p |
総力特集:チャイナショックが来る
通貨金融危機のドミノ |
津上俊哉 |
38p |
日本と世界へのダメージを試算する |
片岡剛士 |
48p |
史上最大の過剰投資の清算が始まった |
武者陵司 |
58p |
古紙拾いが物語る韓国の不況 |
シンシアリー |
66p |
共産主義計画経済に戻るのか |
渡邉哲也 |
74p |
共産党株式会社が夜逃げする |
堤 堯/上念 司/倉山 満 |
82p |
特集:老後は怖くない
老親介護と「嫌われる勇気」 |
岸見一郎 |
96p |
母よ、あなたは私の太陽です |
石黒マリーローズ |
104p |
老化防止の秘訣は日本食にあり |
白澤卓二VSエリカ・アンギャル |
112p |
読み物・連載
現場資本主義が世界を救う |
遠藤 功 |
122p |
海外M&A失敗の本質 |
杉山 仁 |
129p |
「がん放置理論」の蔓延は悪魔の沙汰 |
大場 大 |
136p |
「ワークルール教育」の推進を |
嶋﨑 量 |
144p |
「新しい特殊作戦部隊」創設のすすめ |
丸谷元人 |
152p |
日本構想フォーラム「デザインと科学」の未来 |
伊藤穰一 |
186p |
新幹線は地方を幸せにするのか |
中田 宏 |
194p |
神宮の森に「溶けるスタジアム」 |
隈 研吾[聞き手]松葉一清 |
160p |
「日本の翼」の真実2 |
水間政憲 |
204p |
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超韓流猫コリにゃん〈第12話〉 中韓キムチ戦争 |
室谷克実[原案]/諸星惣一郎[漫画] |
169p |
ニッポン新潮流〈国際政治〉 悪魔の涙――京都、広島の命運を分けた男 |
渡辺惣樹 |
32p |
ニッポン新潮流〈経済政策〉 マイナス金利導入は「黒田バズーカ3」ではない |
飯田泰之 |
34p |
ニッポン新潮流〈生活社会〉 アメリカ大統領選がうらやましい |
山形浩生 |
36p |
しぶといやつ〈第4回〉 第一章 鎧袖一触 4 |
幸田真音 |
212p |
天あり、命あり。〈第11回〉 倉敷、日米民間人会議 |
江上 剛 |
220p |
覚醒するクラシック〈第34回〉 サロメ |
百田尚樹 |
231p |
巻頭言〈第16回〉 持続可能な社会 |
養老孟司 |
17p |
私日記〈第195回〉 死ぬ日まで働けばいい |
曽野綾子 |
236p |
平成始末〈第76回〉 魂の看取り |
山折哲雄 |
248p |
友(アート)を訪ねて〈25〉 東山魁夷 |
文/原田マハ |
8p |
凜たる女性〈64〉 柏原ゆきよ |
撮影/遠藤 宏 |
11p |
Keyフレーズ 時代を斬る!論点 |
1p |
|
Voiceブックス 編集者の読書日記 |
244p |
|
Voiceシネマ 編集者の映画三昧 |
245p |
|
Voiceレター 読者の感想&意見 |
246p |
Voice とは
月刊誌『Voice』は、昭和52年12月に、21世紀のよりよい社会実現のための提言誌として創刊されました。以来、政治、国際関係、経済、科学・技術、経営、教育など、激しく揺れ動く現代社会のさまざまな問題を幅広くとりあげ、日本と世界のあるべき姿を追求する雑誌づくりに努めてきました。次々と起る世界的、歴史的な変革の波に、日本社会がどのように対応するかが差し迫って闘われる今日、『Voice』はビジネス社会の「現場感覚」と「良識」を基礎としつつ、つねに新鮮な視点と確かなビジョンを提起する総合雑誌として、高い評価を得ています。