株式会社 千代田設備 相談役 佐藤 袁也 様

 新潟を中心に、一般住宅から大規模施設まで配管工事や空調工事を担っている千代田設備様は、約40年にわたって顧客への「PHP」贈呈を続けていらっしゃいます。創業者で現相談役の佐藤袁也様に、会社や従業員への思いと、「PHP」の贈呈や清掃活動などの地域貢献に取り組まれている理由をうかがいました。

従業員のよき人生のための環境をつくる

 千代田設備は、1965年に私が創業した会社です。当時のルームクーラーは、ポンプでくみ上げた井戸水をパイプに通し、その後ろから風を送って冷やす水冷式。そのポンプの取り付けその他、給排水設備の配管が創業時の主な仕事でした。最初は私一人で、パイプと工具を入れたリュックを背負い、スクーターで現場を回っていたものです。現在の従業員数は関連会社を含め約250名。基本的に外注に頼らず、社内で職人を育てる方針を貫いています。
 もともと志を持って起業したというより、貧乏から抜け出したい、親孝行をしたい一心で仕事に飛び込んだというのが正直なところ。ただがむしゃらにやってきて、今も無我夢中の連続です。しかし、ひたむきに仕事に向かえる環境に身を置いてこそ、人は成長できるのではないでしょうか。会社とは自分を磨き高めていく“人生道場”だと、私は思っています。ここで一生懸命働いて最高の人生だったと、従業員にも思ってもらえる会社でありたいですね。

45年間続けて修得した「本当のごみ拾い」

 当社では従業員持ち回りで、地域の清掃活動に取り組んでいます。これもまた、会社という道場での大事な学びのひとつ。こうした活動をしていると、地域の方から声をかけていただけますし、自分もほかの誰かに「ご苦労さまです。大変ですね」と、自然に声をかけられるようになるんですよ。
 私自身、45年間ごみ拾いを続けてきて、ごみ拾いは心を成長させると実感しています。例えば茶道や武道を修得する際は、「守破離」という段階を経るでしょう? 繰り返し型通りにやり込むことで、心が自由になっていく。ごみ拾いも同じです。20年、30年と続けるうちに、同じことを繰り返しているようでも、心のありようが変わってきます。最初のうちは「いいことをしている自分を見せたい」という気持ちがどこかにあって、格好をつけていたのかもしれません。それがだんだん、ただ拾わずにはいられなくなる。本当のごみ拾いができるようになってくるのです。

tiyodasetubi-3_toire.JPG

不要になった便器を鉢植えに再利用し産業廃棄物を減らすなど、環境保護にも熱心に取り組む  

松下幸之助の経営哲学に共感して

 1972年に会社を法人化してしばらくたった頃、取引のあったナショナル(現パナソニック)の方が、PHP研究所の経営者向け公開セミナーのことを教えてくださいました。そのセミナーに参加したのが「PHP」を知ったきっかけです。そこで松下幸之助さんの経営哲学に触れ、大変感動しました。
 東京でのセミナー期間中、私の頭に浮かんでいたのは従業員の姿でした。冬のさなかの2月でしたから、新潟では今日も積もった雪を掘りながら、軒下に垂れてくる雪水に濡れながら、工事をしているだろう。従業員のために私はここに来ているのだ、ここで学んだことを実践していかねばと、強く決意したことを覚えています。

お客様のために「PHP」で心を磨く

 私がずっと「PHP」を読み続けているのは、尊敬する松下幸之助さんの思想をしっかりと受け継いでいる本だから。あらゆることに感謝する、素直な心を持つ……そういった、大事だけれども見失いがちなことを思い出させてくれる、心を磨くことができる雑誌です。
 松下幸之助さんのようになるのは容易ではなくとも、ああいった立派な人に倣いたいという気持ちを持ち続けること、それが肝心だと私は思っています。「PHP」は、そのための大切なよすがなのです。
 「PHP」のような本は、会社という道場で学ぶのに欠かせない指針でもあります。自分のしている仕事の意味を考えさせる言葉に出合えるから、そもそも何のために働いているのかという基本を再確認し、気持ちを新たにして仕事に向かうこともできるでしょう。すべて仕事をする人間は、そうやって技能のもととなる心を磨きに磨き、心技体をあわせ持ったプロとして成長していかなくてはなりません。それがお客様に対する義務、使命ではないでしょうか。

tiyodasetubi-2_zinnbutu.JPG

「「PHP」はハミガキのようなもの。読み続けることで心を磨けます」と語る佐藤相談役様  

「PHP」という“心のハミガキ”を多くの方に

 「PHP」には、幸せになるための心の持ちようが、押しつけがましくなく書かれています。お贈りすればお客様のお役にも立つのではとの思いから、お世話になった方への贈呈を始めました。
 世間に対する自分の行ないは、すべてブーメランのように自分に返ってきますから、精一杯いいブーメランを投げていかなくてはなりません。ほかならぬ「PHP」から学んだ、こうしたものの考え方が、続ける原動力になってくれました。贈呈を続けて、もう40年近くになります。
 「PHP」に書かれていることは、一度読んだからといってすぐに実践できるものではありません。長く読み続けてこそ、心が磨かれていく。歯磨きと同じです。長年お贈りしている「PHP」が、お客様の人生を明るくする“心のハミガキ”になってくれたら嬉しいですね。


インタビューにご協力いただいた千代田設備様、ありがとうございました。

※企業名、お役職は取材当時のものです。

【会社概要】

社  名  株式会社千代田設備

設  立  1972年8月(創業1965年3月)

業  種  管工事・設備業

代 表 者  代表取締役 佐藤信久 様

従業員数  247名(関連会社含む)

所 在 地  新潟市中央区

U R L  http://www.chiyodasetsubi.com

 

記事作成日:2018年8月28日