有川真由美(ありかわまゆみ)
作家、写真家。化粧品会社事務、塾講師、新聞社広告局編集者など、多くの職業経験を活かして、働く女性のアドバイザー的な存在として書籍や雑誌などで執筆する。『職場の女子のトリセツ』(PHP研究所)など著書多数。
自分の身に起こる「いいこと」の多くは、いつも"だれか"が運んできてくれます。
「自分の身に起こった『いいこと』ってなに?」と、あらためて考えてみました。
大きな「いいこと」でいえば......、
・旅先で出逢った出版社社長と、ときどき交流していたおかげで、作家デビューできた。
・台湾在住の友人の手助けで、中国語も英語もできないのに、台湾の大学院に留学できた。
・前から取材したかった人が、たまたま幼なじみの知り合いで、紹介してもらえた。
つくづく、私に起きた「いいこと」は、いつも"だれか"の力によるもので、自分の実力以上の結果が生まれていると思います。
今日起こった小さな「いいこと」も、「近所の人が荷物をもってくれた」「介護中の母と昔話をした」など、圧倒的に身近な人間関係のなかで起きています。
「いいこと」の多くは、人間関係の"畑"を耕しておけば、ひょっこり芽が出て、花が咲く、といったことかもしれません。
私はもともと内向的で、見知らぬ人に声をかけたり、頼みごとをしたりできない性格です。ですが、知り合えた人や身近にいる人を大切にすることを心がけてきました。
といっても、大したことはしていません。数分でできる、小さな習慣をご紹介します。
今日からできる三つの小さな習慣
(1)気になったら、すぐに連絡する
「あの人、元気かな」「あの地域は雨がひどかったけど、大丈夫かな」など気になったら、すぐに電話やSNSなどで連絡します。
「いまじゃなくてもいいか」「まぁ、そのうち......」とぐずぐずしていると、だんだん疎遠になっていきます。「思いついたらすぐ」が心の負担も最小限で済みます。
ときどき「気にかけています」というメッセージを送って、つながりを切らさないことが大事。さほど親しくない相手なら、適当な理由をつくって連絡してもいいでしょう。
「どうしてる?」と声をかけ合えるつながりが、「いいこと」を生む土壌になります。
(2)"小さな貢献"を見つける
「いいこと」は、「なにかしてもらおう」という気持ちでは、なかなか起こらないもの。スマホの画面ばかりを見て、自分の世界に閉じこもっていても起こりにくいでしょう。
「なにかできることはない?」と考えるクセのある人は、心が開いている人。顔を上げてまわりを見渡すだけでも、人と視線が合ったり、声をかけられたりするのです。
たとえば、レジやエレベーターで、知らない相手にも「お先にどうぞ」と譲っていると、不思議と譲られることも増えてきます。
職場で、「ゴミ、捨てましょうか」などと"できること"を見つけようとしていると、人からやってもらえる機会も多くなります。
自分ができる範囲で"小さな貢献"を見つけようとする、あたたかい気持ちには、あたたかい人が集まってくるのです。
(3)三割増しで「ありがとう」を伝える
人間関係は、きっちり「ギブ&テイク」にはなりません。一生を通して考えると、途方もなく多くの人から恩恵を受けています。
それなのに「自分ばかりソンしている」と不満をもつのが人間というもの。
「自分がやったことはさっぱり忘れて、人からしてもらったことは記憶する」くらいが、人間関係のストレスを減らして、「いいこと」を引き寄せる秘訣だと思うのです。そのために「三割増しの感謝」を心がけています。
連絡をもらったときなど、些細なことにも、顔を見て「ありがとう」。ご馳走になったときなどには、その場で一回、翌朝もう一回「ありがとう」。「おかげで~できた」など、プラスひと言で、さらに喜びが伝わります。
私はいただき物をしたときは、それを食べたとき、使ったとき、すぐに感想を伝えるようにしています。贈った人は「どうだったかな?」と気になっているものです。
先日、「手作りの梅干し、いま食べたら感動の美味しさ!」と電話したら、「そんなに喜んでくれるなんて。お味噌もあるけど、いる?」と、早速「いいこと」が起こりました。
三割増しの「ありがとう」を繰り返していると、「まわりの人に恵まれている」と感じるようになり、「いいこと」が自然に起きるようになるはずです。