月刊「PHP」2020年11月号 裏表紙の言葉
一日を通して、私たちは驚くほどの選択を重ねている。コーヒーか紅茶かの選択から仕事の決断まで、大小数えきれない。ただし、研究者によると、実は一日の選択の半分は習慣に従っているだけ、いわば脳の自動操縦に頼っているのだという。
そう考えると、日頃の私たちの選択は危ういものとはいえないだろうか。高い意識で習慣として励行しているものもある一方、ゴミの投げ捨てのように、不適切さに鈍感になっていることも充分ありえる。
となれば、自分がどんな価値観のもと、何を習慣にするかという意識こそ重要になろう。もし自分が自堕落な習慣に依存するままであれば、いくら時間があっても成長は望めまい。
一流の人が、食事から睡眠、余暇に至るまで、己を律しているのは高い目的意識のゆえである。それに比して、心地よくてもためにならなければやはり悪習に過ぎない。またつまらない習慣ほど簡単に身につくという。
習慣はすべて意識の産物である。何を目的として、何を習慣にすべきか。自分の心に問いかけたい。