明るいニヒリズム
発売日
2015年02月02日
判 型
文庫判
ISBN
978-4-569-76300-2

明るいニヒリズム

著者 中島義道著 《作家、哲学者》
主な著作 怒る技術』(PHP研究所)
税込価格 770円(本体価格700円)
内容 ニヒリズムは克服するべきなのか? したところで何もない。その直観にこそ「明るさ」がある――人気哲学者による究極のニヒリズム論。



 「徹底的にすべてが無意味」としたニヒリズム(虚無主義)が、明るいとは??

 ニーチェの思想は、厭世主義(ペシミズム)を消極的ニヒリズムとするならば、「能動的ニヒリズム」といえる。“永遠回帰”ですべてが無意味と直視しながら、さらに“力への意志”でそれを積極的に肯定することを求める。ニーチェの哲学は考えすぎた。「真正のニヒリズム」とは、ただすべてが無意味であることの「明晰な直観」でしかないと著者は論じる。

 ニヒリズムは克服したところで何もない。時間とは? 客観的世界とは? 私とは? 著者の明晰な考察は、ソクラテスからデカルト、サルトルらの議論も踏まえ、過去も未来も存在しないこと、客観的世界も、<私>の存在すら幻想にすぎないことを喝破する。そうした態度によって、人生に、世界に向き合うとき、客観的世界はくずれ、「あっけらかん」とした明るさが広がるのだ。

 その鮮烈さに瞠目必至の、傑作ニヒリズム論!