あるじは信長
発売日
2009年11月04日
判 型
四六判上製
ISBN
978-4-569-77321-6

あるじは信長

著者 岩井三四二著 《作家》
主な著作 『月ノ浦惣庄公事置書』『十楽の夢』(以上文藝春秋)
税込価格 1,760円(本体価格1,600円)
内容 主人公は、信長の知られざる家臣たち。『難儀でござる』の著者が、あるじに振り回されつつも懸命に生きる男たちを、彼らの目線で描く。



 「上様、そんな理不尽な……」。

 織田信長を“あるじ”と仰いだばかりに、はからずも悲喜劇の主人公となった名もなき家臣たち。

 桶狭間の戦いの最中、兄か信長かを選ぶ破目に陥った家来の苦悩(「頼うだるお方」)。信長に雇われ、出世に意欲を燃やす相撲取りのがんばり(「出世相撲」)。かつて信長をたわけ呼ばわりしていた近習のしくじり(「たわけに候」)。信長に借金をチャラにしてもらおうと画策する神官のなやみ(「牛頭天王の借銭」)。信長の側室に恋をしてしまった茶坊主のあやまち(「天下を寝取る」)。信長に取り立てられ、一揆衆の国・加賀で無謀な策に出る城主のつまずき(「桶狭間ふたたび」)。合戦には出ずに筆で身を立てようとする右筆のひがみ(「右筆の合戦」)。主家を見限って信長に仕えたものの本能寺の変に直面してしまった武将のとまどい(「裏切り御免」)。

 あるじ信長に翻弄される8人の家臣たちを、『難儀でござる!』の岩井三四二が彼らの視点で描く連作短編集。