神なき時代の「終末論」
発売日
2024年06月14日
判 型
新書判
ISBN
978-4-569-85736-7

神なき時代の「終末論」
現代文明の深層にあるもの

著者 佐伯 啓思著 《京都大学こころの未来研究センター特任教授》
主な著作 従属国家論』(PHP研究所)
税込価格 1,210円(本体価格1,100円)
内容 「世界は最後に救済され、ユートピア(千年王国)を迎える」――旧約聖書に示された終末論が、アメリカ・ロシアを突き動かしてきた!



 しばしばフランス革命は、「自由主義」「社会主義」「保守主義」の三つの思想を生みだしたといわれるが、「保守主義」を欧州に残して、「自由主義」はアメリカへ、「社会主義」はソ連へ引き継がれたと見なしてよいだろう。この両国はその後それらのイデオロギーを世界に普及させることを目指すのだが、そうした志向の根底には『旧約聖書』の終末論が潜んでいた。

 『旧約聖書』によると、歴史の最終局面では世界は破滅し、その前(後という説もある)に至福のユートピアを迎える。この終末論に基づく歴史観が、「神」が姿を見せない現代においてもアメリカ・ロシアを突き動かしているのだ。本書では文明論の第一人者が、歴史の深部にある『旧約聖書』の影響力、さらには文明の「根源感情」を論じ、現代を捉え直す。

 巻末には『人新世の「資本論」』の著者斎藤幸平氏との「保守×左派」対談も収録。「どうして日本人はこんなにも資本主義が好きなのか」という問いや、マルクスについての疑問、資本主義に対して半身で構えるための「コモン」などについての議論を展開する。

 
●承認欲求がやがて対等願望に
●ユダヤ教の「他民族への優越」が受け継がれた
●歴史の四層の構造
●「市民的資本主義」と「ユダヤ的資本主義」
●ヨーロッパの根源感
●ロシアの「終末への熱狂」
●支配されるものの知恵――イギリスの保守主義とは