雑誌
Voice 2014年10月号
今月号の読みどころ
『朝日新聞』への批判が鳴り止まない。新聞、雑誌をはじめ、ネットでも大炎上中だ。ジャーナリストの池上彰氏が、『朝日新聞』の「慰安婦報道検証記事」を批判したコラムを書いた。「せっかく勇気を奮って訂正したのでしょうに、お詫びがなければ、試みは台無し」と、正鵠を得たまっとうな指摘だ。ところが、その原稿の掲載を拒否したのだ。それに社内外から批判があったためか、「池上さんと読者の皆様へ」との見出しで一転おわびし、コラムを掲載した。他社への批判は得意だが、自社への批判には滅法弱いようだ。では、そもそも朝日批判はなぜ起こったのか。
今月号の総力特集は、『朝日新聞』の8月5日と6日の慰安婦問題の検証記事について、弊誌としても検証し、日韓関係について考えてみた。池田信夫氏は自身がNHK勤務時にこの問題を取材した経験から、詳細に経緯をまとめている。「身売りを強制連行と書いたのは捏造か、控えめに表現してもねじ曲げであり、過失ではありえない」と結論付けている。また、水間政憲氏は1982年の吉田清治氏の「奴隷狩り」記事を裏付ける内容だった、1984年11月2日の『朝日新聞』の記事を紹介。でっち上げで世界を騙した吉田氏もひどいが、裏付けもせず記事を垂れ流した記者の責任も今後問われるべきだろう。
『朝日新聞』は「慰安婦として自由を奪われ、女性としての尊厳を踏みにじられたことが問題の本質なのです」と書く。ならば、米軍慰安婦問題も同時に取材し、問題提起すべきだ。そうでなければ、単に日本人の尊厳を踏みにじるのが目的であったとしか思えなくなる。日韓関係について論じた呉善花氏は、証言録『米軍慰安婦基地村の隠された真実』を取り上げ、国家が管理していたことを問題視する。そのうえで、韓国が歴史的な真実を受け入れることはないので、「日本は自国の正義を世界に向けて発信していく」べきだと説く。また、韓国在住ブロガーのシンシアリー氏は、一連の反日姿勢は韓国の内部問題であり、「日本は韓国が好んで使う(謝罪や賠償などの)条件付きの話し合いには絶対に応じるべきでは」ないと強調する。一定の距離を保つことが賢明な外交姿勢だということだろう。
今月号はほかに特集が2本。特集Ⅰはバブル崩壊も囁かれる中国問題である。現在、ベストセラーに名を連ねる『中国の大問題』の著者であり、前駐中国大使の丹羽宇一郎氏に話をうかがった。日本企業が制裁金を課された独占禁止法の問題は、日中間の「貿易戦争」の始まりを意味すると指摘。ほかに、岡崎久彦氏、増田悦佐氏、李登輝氏がそれぞれ中国問題について論じた。特集Ⅱでは新しく誕生した「安倍改造内閣への提言」として、主に経済政策の方向性について考えた。冨山和彦氏や竹中平蔵氏が、「ローカル版・成長戦略」「ネオ・アベノミクス」などのキーワードで次の課題を明確にしている。
また、巻頭では、東京電力会長に福島復興と経営の立て直しをテーマにインタビューした。川崎製鉄、JFEホールディングスでの経営者トップとしての経験が、どれほど東京電力の改革に生かされていくのか。「さすが!」と思わせ、一読の価値がある。
今月号の総力特集は、『朝日新聞』の8月5日と6日の慰安婦問題の検証記事について、弊誌としても検証し、日韓関係について考えてみた。池田信夫氏は自身がNHK勤務時にこの問題を取材した経験から、詳細に経緯をまとめている。「身売りを強制連行と書いたのは捏造か、控えめに表現してもねじ曲げであり、過失ではありえない」と結論付けている。また、水間政憲氏は1982年の吉田清治氏の「奴隷狩り」記事を裏付ける内容だった、1984年11月2日の『朝日新聞』の記事を紹介。でっち上げで世界を騙した吉田氏もひどいが、裏付けもせず記事を垂れ流した記者の責任も今後問われるべきだろう。
『朝日新聞』は「慰安婦として自由を奪われ、女性としての尊厳を踏みにじられたことが問題の本質なのです」と書く。ならば、米軍慰安婦問題も同時に取材し、問題提起すべきだ。そうでなければ、単に日本人の尊厳を踏みにじるのが目的であったとしか思えなくなる。日韓関係について論じた呉善花氏は、証言録『米軍慰安婦基地村の隠された真実』を取り上げ、国家が管理していたことを問題視する。そのうえで、韓国が歴史的な真実を受け入れることはないので、「日本は自国の正義を世界に向けて発信していく」べきだと説く。また、韓国在住ブロガーのシンシアリー氏は、一連の反日姿勢は韓国の内部問題であり、「日本は韓国が好んで使う(謝罪や賠償などの)条件付きの話し合いには絶対に応じるべきでは」ないと強調する。一定の距離を保つことが賢明な外交姿勢だということだろう。
今月号はほかに特集が2本。特集Ⅰはバブル崩壊も囁かれる中国問題である。現在、ベストセラーに名を連ねる『中国の大問題』の著者であり、前駐中国大使の丹羽宇一郎氏に話をうかがった。日本企業が制裁金を課された独占禁止法の問題は、日中間の「貿易戦争」の始まりを意味すると指摘。ほかに、岡崎久彦氏、増田悦佐氏、李登輝氏がそれぞれ中国問題について論じた。特集Ⅱでは新しく誕生した「安倍改造内閣への提言」として、主に経済政策の方向性について考えた。冨山和彦氏や竹中平蔵氏が、「ローカル版・成長戦略」「ネオ・アベノミクス」などのキーワードで次の課題を明確にしている。
また、巻頭では、東京電力会長に福島復興と経営の立て直しをテーマにインタビューした。川崎製鉄、JFEホールディングスでの経営者トップとしての経験が、どれほど東京電力の改革に生かされていくのか。「さすが!」と思わせ、一読の価値がある。
公式サイト |
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今月号の目次
巻頭インタビュー 日本の未来は東電改革にあり |
藪土文夫/インタビュアー:片山 修 |
22p |
総力特集:朝日の慰安婦報道を叱る
緊急寄稿 さよなら、幻想の国 |
呉 善花 |
40p |
朝日の「検証記事」を検証する |
池田信夫 |
48p |
慰安婦とボスニア・レイプは一緒か? |
上念 司/倉山 満 |
58p |
『朝鮮版』が真実を語る |
水間政憲 |
68p |
日韓問題の本質、直視を |
シンシアリー |
76p |
特集Ⅰ:中国と世界の大問題
日本企業への制裁は止まらない |
丹羽宇一郎 |
84p |
強大中国にいかに立ち向かうか |
岡崎久彦 |
94p |
中国がアルゼンチン・タンゴを踊る日 |
増田悦佐 |
106p |
台湾と日本の未来 |
李 登輝 |
116p |
特集Ⅱ:安倍改造内閣への提言
「ローカル版・成長戦略」を実現せよ |
大山健太郎/伊藤邦雄/冨山和彦 |
126p |
「ネオ・アベノミクス」のすすめ |
竹中平蔵 |
139p |
「第一の矢」でデフレ不況を打ち抜け |
原田 泰 |
152p |
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ギリギリを、踏ん張る |
小川榮太郎 |
161p |
検証・繰り返される食品問題 |
河岸宏和 |
171p |
帰れない岐路 明治四十三年、石川啄木の「時代閉塞」 |
先崎彰容 |
188p |
新世代の流儀 「辞書をめぐるこの物語は、特別な世界の話じゃない」 |
佐々木健一/取材・構成:木村俊介 |
200p |
ニッポン新潮流〈国内政治〉 野党は本気で政権をめざせ |
菅原 琢 |
32p |
ニッポン新潮流〈経済政策〉 慎重さが求められる増税実施の意思決定 |
飯田泰之 |
34p |
ニッポン新潮流〈生活社会〉 アキバは深センにとっくに追い抜かれている |
山形浩生 |
36p |
ニッポン新潮流〈科学医療〉 「災害ハネムーン」の夢と震災四年目の現実 |
最相葉月 |
38p |
テロリスト・安重根〈第8回〉 彷徨える四人の男 |
早坂 隆 |
206p |
武士の碑〈第13回〉 敗軍の責 |
伊東 潤 |
216p |
覚醒するクラシック〈第16回〉 ホルン協奏曲第一番 |
百田尚樹 |
232p |
巻頭言〈10〉 安倍政権は大本営発表をやめよ |
小浜逸郎 |
19p |
私日記〈第178回〉 玉ねぎと若芽の喜び |
曽野綾子 |
238p |
平成始末〈第58回〉 「野生化」しはじめた社会 |
山折哲雄 |
250p |
友アートを訪ねて〈21〉 [ヘリット・トーマス・リートフェルト] |
原田マハ |
8p |
凛たる女性〈46〉 [矢島里佳] |
撮影/遠藤 宏 |
13p |
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Keyフレーズ 時代を斬る!論点 |
1p |
|
Voiceブックス 編集者の読書日記 |
246p |
|
Voiceシネマ 編集者の映画三昧 |
247p |
|
Voiceレター 読者の感想&意見 |
248p |
Voice とは
月刊誌『Voice』は、昭和52年12月に、21世紀のよりよい社会実現のための提言誌として創刊されました。以来、政治、国際関係、経済、科学・技術、経営、教育など、激しく揺れ動く現代社会のさまざまな問題を幅広くとりあげ、日本と世界のあるべき姿を追求する雑誌づくりに努めてきました。次々と起る世界的、歴史的な変革の波に、日本社会がどのように対応するかが差し迫って闘われる今日、『Voice』はビジネス社会の「現場感覚」と「良識」を基礎としつつ、つねに新鮮な視点と確かなビジョンを提起する総合雑誌として、高い評価を得ています。