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Voice 2025年10月号
今月号の読みどころ
戦後、日本は「平和と繁栄」を追い求め、それなりに実現しました。表面的に見れば、これほど成功を収めた国は稀有でしょう。しかし実際、現在、どれだけの日本人が幸福感を抱いているでしょうか。アメリカのトランプ大統領の再登場が象徴するように、日本のみならず世界的に従来の価値観が揺らいでおり、テクノロジーの進化によって私たちの生き方も問い直されています。もはや私たちにとって「手本」となるような国は存在せず、つまりは日本の歴史や文化をふまえて「幸福」を考えなければいけません。西洋近代とは異なる「日本思想」から幸福について考察する佐伯啓思氏の論考をはじめ、8つの論考・インタビューから私たちにとっての幸せとは何かを考えます。特集2は「武器化する貿易、日本経済の活路」。トランプ関税で世界が揺れ続けるなか、日本が進むべき活路を検討します。特別企画「自民党は何を間違えたか」では、参院選を経て政局が不安定化するいま、自民党凋落の背景と今後の日本政治について議論。そのほか、彬子女王殿下と漫画家のほしよりこ氏の巻頭対談「『好き』を追求した時間は人生の宝物」を掲載しています。
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今月号の目次
特集1:令和の新・幸福論
現世的かつ現実的な「日本思想」の可能性 |
佐伯啓思 |
38p |
開かれた協調性という希望 |
内田 由紀子 |
52p |
厳しい安保環境、フィンランドと韓国の違い |
牧野愛博 |
60p |
結婚の「メリット」をいかに引き出すか |
筒井淳也 |
70p |
AIエージェントで始まる「新しい人間関係」 |
三宅 陽一郎 |
78p |
古代ギリシアに学ぶ幸福と自由 |
荻野弘之 |
86p |
名経営者たちが従業員を幸せにできる理由 |
前野隆司 |
94p |
読書は人を自由にするか、閉じ込めるか |
千葉雅也 |
102p |
特集2:武器化する貿易、日本経済の活路
自由貿易と経済安全保障のジレンマ |
鈴木一人 |
130p |
日本の貿易、内なる課題への挑戦 |
小島 明 |
138p |
産業発展の歴史にみる「競争政策」 |
和田聡子 |
146p |
特別企画:自民党は何を間違えたか
自民党の命脈はいつ尽きていたか |
河野有理&與那覇 潤 |
184p |
二大政党の終焉、多党制時代の到来 |
佐藤 理 |
196p |
新しい階級社会、岩盤保守の転換 |
橋本健二 |
206p |
巻頭対談
「好き」を追求した時間は人生の宝物 |
彬子女王&ほしよりこ |
18p |
特別寄稿
イラン・イスラエル戦争と中東情勢の転換 |
山内昌之 |
110p |
【松本紘氏 追悼】
研究者を守り抜いた「大恩人」の志 |
山中伸弥 |
122p |
連載 ほか
それでも、生まれてきたことを肯定する〈5〉 コーピングとして顕れる心 |
近内悠太 |
214p |
【トランプ2.0、翻弄される世界を歩く】〈新〉 インドネシア |
岡部 伸 |
154p |
【闘う首長】〈6〉 AIを生かしたまちづくり |
宮元 陸 |
166p |
【新時代ビジョン研究会】 人口減少下で進める「100年に一度」の大改造――山形県山形市 |
稲村裕介 |
222p |
日本映画史の画期『雪風 YUKIKAZE』 |
瀬戸川 宗太 |
230p |
令和の事業家 中学生姉妹が伝統文化にかける思い |
りり&てる |
236p |
ニッポン新潮流〈現代社会〉 「令和の政治」の本格始動 |
西田亮介 |
26p |
ニッポン新潮流〈教育企業〉 「成長」を求める時代に「成熟」を考える |
勅使川原 真衣 |
28p |
ニッポン新潮流〈都市文化〉 青森の祭と空襲の記憶 |
藤村龍至 |
30p |
ニッポン新潮流〈現代思想〉 批評の最前線はポッドキャスト |
谷川嘉浩 |
32p |
地域から日本を動かす〈42〉 「令和のコメ騒動」を再び起こすな |
結城豊弘 |
34p |
歴史家の書棚〈63〉 小峯隆生著、柿谷哲也撮影『我ら海中自衛隊』 |
奈良岡 聰智 |
240p |
巻頭言〈19〉 開放性の政治学 |
冨田浩司 |
15p |
文明之虚説〈94〉 杉山茂丸という「黒幕」 |
渡辺利夫 |
246p |
戦跡が語る「先の大戦」〈9〉 グアム島 |
写真・文/安島 太佳由 |
1p |
里山―未来へつなげたい日本の風景〈22〉 秋空とリンゴ |
写真・文/今森光彦 |
8p |
令和の撫子〈77〉 大北 友紀乃 |
撮影/吉田和本 |
11p |
Voiceブックス 編集者の読書日記 |
242p |
|
Voiceシネマ 編集者の映画三昧 |
243p |
|
Voiceレター 読者の感想&意見 |
244p |
Voice とは
月刊誌『Voice』は、昭和52年12月に、21世紀のよりよい社会実現のための提言誌として創刊されました。以来、政治、国際関係、経済、科学・技術、経営、教育など、激しく揺れ動く現代社会のさまざまな問題を幅広くとりあげ、日本と世界のあるべき姿を追求する雑誌づくりに努めてきました。次々と起る世界的、歴史的な変革の波に、日本社会がどのように対応するかが差し迫って闘われる今日、『Voice』はビジネス社会の「現場感覚」と「良識」を基礎としつつ、つねに新鮮な視点と確かなビジョンを提起する総合雑誌として、高い評価を得ています。