編集部から [PHPスペシャル 2010年10月号]

20年前、海外放浪していた私は約1年、日本語に触れない日々を過ごしていた。帰国直前、泊まった安宿に偶然置いてあった文庫本、三島由紀夫の『春の雪』。熱帯の砂浜で時を忘れ読みふけり、魂を撃ち抜かれた。自分を大きく変える旅は、小さな本の中にもあったのだ。 (新)

今月の特集では、数多くの本屋さんやブックカフェへ足を運びました。それぞれに個性のあるお店に、魅力的な本が1冊、また1冊。うかがったどのお話からも本への愛情が感じられ、とても心はずむ取材でした。お力漆えいただいたみなさま、ありがとうございました。(千)

青春の苦悩(!?)に鬱々としていた中学の頃、ふと手にした小説。「ひとが必死に生きて、あがいて、恋する姿ってこんなにキレイなものなんだ」。本に救われたあの一瞬が、私を今ここに在らしめていると思います。秋の読書特集、あなたに珠玉の1冊が届きますように。 (央)