雑誌
Voice 2014年8月号
今月号の読みどころ
      集団的自衛権の行使容認をめぐり、国論が二分している。「戦争ができる国」になったと煽るのは『朝日新聞』と、なぜか『朝鮮日報』だ。悪意のある国が攻めてきたとき、自国を防衛し、同盟国を守るのは「普通の国」のやることではないのか。「国土を防衛する手段として武力を行使することは、憲法に違反しない」というのがわが国の立場だ。なぜ「憲法破壊だ」と騒ぐのか。そもそも集団的自衛権は、国連憲章51条で認められている国家固有の権利である。永世中立国で徴兵制のあるスイスを除けば、日本だけが集団的自衛権を制限している。これまで「権利はあっても行使はできない」との憲法解釈を維持してきたが、解釈変更でようやく「普通の国」になったと喜ぶべきではないのか。
今月号の総力特集は、「日中冷戦、変わる自衛隊」と銘打ち、今年7月に発足から60年目となる自衛隊と集団的自衛権の関係を論じた。櫻井よしこ氏は、「集団的自衛権を認めることは、弱者を含めて私たち国民の生命、人権を守るということにほかなりません。けっして『地球の裏側まで行って戦争に加担する』ということではありません」と述べ、『朝日新聞』は他紙以上に「人権」「生命」「弱者」を重んじてきたのに、なぜ集団的自衛権行使を否定するのかがわからないと呆れる。田母神俊雄氏は、「中国の軍事力は強い」という情報戦、心理戦に負けてはいけないと説く。「中国と戦争になったら自衛隊に勝ち目はない。死者が出る前に、尖閣問題では譲歩して引くべきだ」という意見の裏には、中国の「戦わずして尖閣を掠め取る」戦略が見え隠れするという。ロシアや中国が拡張主義を進める一方で、オバマ政権は海外への軍事介入に消極的である。こうした国際情勢の下、前防衛大臣である森本敏氏は、日米同盟の強化がアジア・太平洋の平和と安定のためには不可欠であり、そのための法整備を急ぐべきだと強調する。
巻頭の対談では、現在論争が巻き起こっている『朝日新聞』のスクープ問題を取り上げた。5月20日付けの『朝日新聞』では「所長命令に違反、原発撤退 福島第一、所員の九割 政府事故調の『吉田調書』入手」と一面トップで報じた。これに疑義を挟んだのが、福島第一原発の故吉田昌郎元所長を取材し著作もある門田隆将氏だ。対するのは、元『週刊朝日』編集長で編集委員も務めた川村二郎氏である。問題の所在を明らかにし、今後取り組むべき方向性を示したという点で、有意義な議論が交わされている。ジャーナリズムとは何かを考えるうえでも、ぜひ、ご一読いただきたい対談である。
        今月号の総力特集は、「日中冷戦、変わる自衛隊」と銘打ち、今年7月に発足から60年目となる自衛隊と集団的自衛権の関係を論じた。櫻井よしこ氏は、「集団的自衛権を認めることは、弱者を含めて私たち国民の生命、人権を守るということにほかなりません。けっして『地球の裏側まで行って戦争に加担する』ということではありません」と述べ、『朝日新聞』は他紙以上に「人権」「生命」「弱者」を重んじてきたのに、なぜ集団的自衛権行使を否定するのかがわからないと呆れる。田母神俊雄氏は、「中国の軍事力は強い」という情報戦、心理戦に負けてはいけないと説く。「中国と戦争になったら自衛隊に勝ち目はない。死者が出る前に、尖閣問題では譲歩して引くべきだ」という意見の裏には、中国の「戦わずして尖閣を掠め取る」戦略が見え隠れするという。ロシアや中国が拡張主義を進める一方で、オバマ政権は海外への軍事介入に消極的である。こうした国際情勢の下、前防衛大臣である森本敏氏は、日米同盟の強化がアジア・太平洋の平和と安定のためには不可欠であり、そのための法整備を急ぐべきだと強調する。
巻頭の対談では、現在論争が巻き起こっている『朝日新聞』のスクープ問題を取り上げた。5月20日付けの『朝日新聞』では「所長命令に違反、原発撤退 福島第一、所員の九割 政府事故調の『吉田調書』入手」と一面トップで報じた。これに疑義を挟んだのが、福島第一原発の故吉田昌郎元所長を取材し著作もある門田隆将氏だ。対するのは、元『週刊朝日』編集長で編集委員も務めた川村二郎氏である。問題の所在を明らかにし、今後取り組むべき方向性を示したという点で、有意義な議論が交わされている。ジャーナリズムとは何かを考えるうえでも、ぜひ、ご一読いただきたい対談である。
| 公式サイト |  | 
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今月号の目次
| 巻頭激論 「吉田調書」を全文公開せよ | 門田隆将/川村二郎 | 22p | 
総力特集:創設60周年 日中冷戦、変わる自衛隊
| 特別インタビュー 『朝日』と中国から日本を守れ | 櫻井よしこ | 40p | 
| 日本の隣国は腹黒い | 田母神俊雄 | 50p | 
| 日米同盟強化のための法整備を急げ | 森本 敏 | 58p | 
| 足踏み状態の離島防衛 | 潮 匡人 | 68p | 
| サイバー戦争に備えよ | 菊池雅之 | 76p | 
| 自衛隊員の本音を聞け | 世良光弘 | 84p | 
| 海外で地雷除去に励む元自衛官たち | 荒川龍一郎/取材・構成:夏目幸明 | 92p | 
| 新ガイドラインは対中メッセージ | 守屋武昌 | 100p | 
| 建軍の本義を問う | 源川幸夫/福山 隆 | 108p | 
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| 短期集中連載 スキャンダラスなヤルタ会議〈前編〉 | 有馬哲夫 | 120p | 
| ワシントンから見た「良い安倍」「悪い安倍」 | グレン・S・フクシマ | 128p | 
| 〈新連載〉説教ストロガノフ 支那は日本と戦争できるか | 上念 司/倉山 満 | 138p | 
| 東京駅と日本橋を結ぶ物語 | 柴崎信三 | 148p | 
| クラシックに言語の壁はない | アリス=紗良・オット/聞き手:タカ大丸 | 156p | 
| 児童書と戦争 | 尾崎真理子 | 166p | 
| AI、いかにしてグーグルに勝つか | 村上憲郎/松尾 豊 | 188p | 
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| 新世代の流儀 「心が震えるほどにうまさを感じる料理はいまもやはりあるんです」 | 花澤 龍/取材・構成:木村俊介 | 173p | 
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| ニッポン新潮流〈国内政治〉 人口減少を抑制できない政治構造 | 菅原 琢 | 32p | 
| ニッポン新潮流〈経済政策〉 「やったふり」の産業政策はやめよ | 飯田泰之 | 34p | 
| ニッポン新潮流〈生活社会〉 憲法解釈の議論には意味がない | 山形浩生 | 36p | 
| ニッポン新潮流〈科学医療〉 日本は乳がん対策後進国 | 最相葉月 | 38p | 
| テロリスト・安重根〈第6回〉 亡命 | 早坂 隆 | 197p | 
| 乙武洋匡、世界の大使に会いに行く〈第5回〉 躍進する民主主義国家インド | 乙武洋匡 | 207p | 
| 武士の碑〈第11回〉 父と子 | 伊東 潤 | 215p | 
| 覚醒するクラシック〈第14回〉 マタイ受難曲 | 百田尚樹 | 233p | 
| 巻頭言〈8〉 W杯の見栄張りナショナリズム | 小浜逸郎 | 19p | 
| 私日記〈第176回〉 用意周到・当意即妙 | 曽野綾子 | 238p | 
| 平成始末〈第56回〉 地を這い空を飛んだ歌 | 山折哲雄 | 250p | 
| 友アートを訪ねて〈19〉 [相原求一朗] | 原田マハ | 8p | 
| 凜たる女性〈44〉 [黒木利佳] | 撮影/遠藤 宏 | 13p | 
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| Killerフレーズ 時代を斬る!論点 | 1p | |
| Voiceブックス 編集者の読書日記 | 246p | |
| Voiceシネマ 編集者の映画三昧 | 247p | |
| Voiceレター 読者の感想&意見 | 248p | 
Voice とは
月刊誌『Voice』は、昭和52年12月に、21世紀のよりよい社会実現のための提言誌として創刊されました。以来、政治、国際関係、経済、科学・技術、経営、教育など、激しく揺れ動く現代社会のさまざまな問題を幅広くとりあげ、日本と世界のあるべき姿を追求する雑誌づくりに努めてきました。次々と起る世界的、歴史的な変革の波に、日本社会がどのように対応するかが差し迫って闘われる今日、『Voice』はビジネス社会の「現場感覚」と「良識」を基礎としつつ、つねに新鮮な視点と確かなビジョンを提起する総合雑誌として、高い評価を得ています。
 
				 
				 
				 
				 
				 
				 
				 
				 
         
 
	







 
     
       
       
       
       
       
       
      