雑誌
Voice 2015年4月号
今月号の読みどころ
ISIL(イスラム国)の拠点があるイラク北部のティクリートでは、イラク軍による奪還作戦が始まっている。すでに「戦争」は起こっている。今後、米軍は地上戦を行なうのだろうか。日本は国際テロの脅威にどう備えるのか。
4月号は「地獄の中東、日本の覚悟」との総力特集を組んだ。曽野綾子氏と笈川博一氏は対談で、「現代が十九世紀なら、ISILは立派な国家」であり、「国家とは何か」という問題提起を行なっている。日高義樹氏はアメリカの専門家の考えとしてこう分析する。中東における問題は「ISIS(イスラム国)よりもイランのペルシャ王国復活の野望であり、テヘランを中心にイラクやシリア、ベイルートを含めた一大帝国の再現」なのだという。また、ベトナム戦争を例に出し、「ゲリラは魚で人民は水」であり、ISISとの戦争も泥沼化しかねないと警鐘を鳴らす。一方、兵頭二十八氏は「石油が産み出すあぶく銭が世界を攪乱している」とし、「イランがいま、財政のピンチに追い込まれつつある。仕掛けたのはアメリカとサウジアラビアだ」と読む。日本は国際原油価格の下落を歓迎すべきだと説く。中谷元防衛大臣は、「自衛隊が現行法上できることは邦人輸送に限られています。邦人を救出することは許されません」と述べ、法改正の必要性を指摘する。そもそも自衛隊は在外公館すら警護できていない。今後、海外における邦人の安全確保と在外公館の警備をどうするのか。法改正を含め、国民的な議論が待たれるところだ。
第二特集は、「歴史の常識を疑え」と題し、先の大戦で描かれてきた歴史のストーリーに違う角度から光を当てた論考を紹介する。映画のような二重スパイがもたらしたスクープ情報が真珠湾攻撃を予告していたという岡部伸氏。反日と反独映画に隠された、戦後強くなってはいけない日独への牽制を描いた丸谷元人氏。当時の新聞記事と写真から、東京無差別爆撃の真相を暴いた水間政憲氏。いずれも日本人が何気なく信じている歴史の一頁に疑問を投げかけた力作である。
他に、2大インタビューとして、室町時代の観阿弥、世阿弥の流れを汲む観世流の二十六世宗家の観世清和氏に、能楽堂を渋谷の松濤から銀座に移転させる理由などを聞いた。また、東大生の就職先として人気の高いDeNAの設立者である南場智子氏に、「これからの日本人に求められる四つの力」について話を伺った。未来に向けたさまざまな取り組みに勇気づけられる。若い人たちにぜひ読んでいただきたいインタビューだ。
4月号は「地獄の中東、日本の覚悟」との総力特集を組んだ。曽野綾子氏と笈川博一氏は対談で、「現代が十九世紀なら、ISILは立派な国家」であり、「国家とは何か」という問題提起を行なっている。日高義樹氏はアメリカの専門家の考えとしてこう分析する。中東における問題は「ISIS(イスラム国)よりもイランのペルシャ王国復活の野望であり、テヘランを中心にイラクやシリア、ベイルートを含めた一大帝国の再現」なのだという。また、ベトナム戦争を例に出し、「ゲリラは魚で人民は水」であり、ISISとの戦争も泥沼化しかねないと警鐘を鳴らす。一方、兵頭二十八氏は「石油が産み出すあぶく銭が世界を攪乱している」とし、「イランがいま、財政のピンチに追い込まれつつある。仕掛けたのはアメリカとサウジアラビアだ」と読む。日本は国際原油価格の下落を歓迎すべきだと説く。中谷元防衛大臣は、「自衛隊が現行法上できることは邦人輸送に限られています。邦人を救出することは許されません」と述べ、法改正の必要性を指摘する。そもそも自衛隊は在外公館すら警護できていない。今後、海外における邦人の安全確保と在外公館の警備をどうするのか。法改正を含め、国民的な議論が待たれるところだ。
第二特集は、「歴史の常識を疑え」と題し、先の大戦で描かれてきた歴史のストーリーに違う角度から光を当てた論考を紹介する。映画のような二重スパイがもたらしたスクープ情報が真珠湾攻撃を予告していたという岡部伸氏。反日と反独映画に隠された、戦後強くなってはいけない日独への牽制を描いた丸谷元人氏。当時の新聞記事と写真から、東京無差別爆撃の真相を暴いた水間政憲氏。いずれも日本人が何気なく信じている歴史の一頁に疑問を投げかけた力作である。
他に、2大インタビューとして、室町時代の観阿弥、世阿弥の流れを汲む観世流の二十六世宗家の観世清和氏に、能楽堂を渋谷の松濤から銀座に移転させる理由などを聞いた。また、東大生の就職先として人気の高いDeNAの設立者である南場智子氏に、「これからの日本人に求められる四つの力」について話を伺った。未来に向けたさまざまな取り組みに勇気づけられる。若い人たちにぜひ読んでいただきたいインタビューだ。
公式サイト |
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今月号の目次
巻頭インタビュー
課題解決型人材を育てよ |
南場智子 |
22p |
総力特集:地獄の中東、日本の覚悟
ISILと政府なき世界 |
曽野綾子/笈川博一 |
38p |
三つ目の戦争に陥ったアメリカ |
日高義樹 |
50p |
防衛を忘れた空港 |
樋口恒晴 |
60p |
イスラミックテロの恐怖 |
兵頭二十八 |
70p |
自衛隊は邦人を救えるか |
中谷 元/〈取材・構成〉潮 匡人 |
78p |
SPECIAL
「反原発」のアナーキズム |
中西輝政 |
112p |
特集:歴史の常識を疑え
「007」が予告した真珠湾攻撃 |
岡部 伸 |
86p |
反日・反独映画の虚妄 |
丸谷元人 |
94p |
東京無差別爆撃の真相を暴く |
水間政憲 |
102p |
|
||
「放射能ヒストリー」はほんとうか |
高田 純 |
124p |
高坂正堯「平和論」の射程 |
先崎彰容 |
132p |
アベノミクス2.0でデフレ脱却へ |
田中秀臣 |
143p |
新たな防災文化の構築 |
竹村真一 |
152p |
日本は右傾化しているのか |
寺内 敬 |
170p |
「女子力男子」の消費力 |
原田曜平 |
188p |
特別インタビュー
鎮魂の舞に込めた能の美学 |
観世清和 |
160p |
新連載
健康は生成する 第1回 疾病生成から健康生成へ |
斎藤 環 |
204p |
周五郎は残った 第1回 赤ひげ診療譚 |
福田和也 |
213p |
好評連載
説教ストロガノフ〈第9回〉 中東に満洲国を建てよ |
上念 司/倉山 満 |
196p |
ニッポン新潮流〈国内政治〉 地方議会で改革派が伸びない理由 |
菅原 琢 |
32p |
ニッポン新潮流〈経済政策〉 日銀審議委員人事で何が変わるか |
飯田泰之 |
34p |
ニッポン新潮流〈生活社会〉 民主党の「格差解消」はお題目 |
山形浩生 |
36p |
武士の碑〈最終回〉 最後の武士 |
伊東 潤 |
224p |
覚醒するクラシック〈第22回〉 ピアノ協奏曲二四番 |
百田尚樹 |
233p |
巻頭言〈第4回〉 殺しのライセンス |
養老孟司 |
19p |
私日記〈第184回〉 十草粥 |
曽野綾子 |
238p |
平成始末〈第64回〉 大学よ、目を覚ませ! |
山折哲雄 |
250p |
真相スクープ 反日歴史認識の「教典」Ⅳ |
構成/水間政憲 |
10p |
凜たる女性〈52〉 春香クリスティーン |
撮影/遠藤 宏 |
13p |
Keyフレーズ/時代を斬る!論点 |
1p |
|
Voiceブックス/編集者の読書日記 |
246p |
|
Voiceシネマ/編集者の映画三昧 |
247p |
|
Voiceレター/読者の感想&意見 |
248p |
Voice とは
月刊誌『Voice』は、昭和52年12月に、21世紀のよりよい社会実現のための提言誌として創刊されました。以来、政治、国際関係、経済、科学・技術、経営、教育など、激しく揺れ動く現代社会のさまざまな問題を幅広くとりあげ、日本と世界のあるべき姿を追求する雑誌づくりに努めてきました。次々と起る世界的、歴史的な変革の波に、日本社会がどのように対応するかが差し迫って闘われる今日、『Voice』はビジネス社会の「現場感覚」と「良識」を基礎としつつ、つねに新鮮な視点と確かなビジョンを提起する総合雑誌として、高い評価を得ています。